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富を維持するには、まずお金の使い方に慣れること
近年では、暗号資産などで突然大金を得た「シン富裕層」も少なくありません。けれど、その富をどう扱えばよいのかわからず、不安にかられる人も多いのです。
実際、ある若者が暗号資産で億単位の利益を得た直後、「怖くて一人で外を歩けない」とボディーガードを雇うようになり、相談に来られたことがありました。
今まで見たことがないほどの大きなお金が手に入った。でも、「どう使っていいかわからない」「申告の仕方もわからない」「人間関係が変わってしまった」と戸惑いを口にされていました。そして最後に、「お金のことも含め、世の中のことを学ぶために、大学に行こうと思います」と静かに語られたのです。
お金の使い方を知らなければ、むしろ心の不安や混乱を招いてしまうことすらあるのです。
また、現行税制で暗号資産の売却益は原則として雑所得に分類され、最高55%(所得税45%+住民税10%)の税率で課税されます。宝くじの当せん金と違い、税負担の重さも無視できません。
さらに、ギャンブル的な支出には中毒性があります。たばこ・ギャンブル・アルコールはどれも依存性が高く、調査によればスモーカーやギャンブラーは住宅ローン以外の負債を抱える割合が高いというデータもあります。
筆者が過去に出会ったある方は、ギャンブルにのめり込み、高級時計を何本もローンで購入し、多額の租税負債を抱えて破綻寸前という状況にありました。さらに、わかっていてもやめられない中毒性のある支出は健康も害するなど負の連鎖につながります。
大金を手にしたときこそ、その人の支出哲学が問われます。使い方を知らないまま築かれた富は、心を不安にし、かえって人生の自由を奪うこともあります。だからこそ、富裕層は「お金があること」よりも、「お金とどう向き合うか」「お金の使い方」を大切にしているのです。
「富が続く人」「富が離れていく人」の財産シートを比較すると……
では、「富が続く人」と「富が離れていく人」とでは、「お金の使い方」にどのような違いがあるのでしょうか。
[図表2]は、筆者が見てきた「富が続く人の財産シート」を簡略化したものです。
これまで1000万枚を超える領収書を見てきて断言できるのは、「富が続く人」と「富が離れていく人」は、財産シートが明確に違うということです。
その大きな違いはたったひとつ。
多くの人はつい「どれだけ稼いだか」「いくら持っているか」で経済的な成功を測りがちです。肩書や職業、銀行口座の残高、資産の総額といった「見える指標」で人を判断してしまうことは否めません。
でもそれは、多くの人が陥ってしまう資本主義的な「わかりやすい成功像」にすぎないのです。表面的なわかりやすい豊かさは、今その瞬間、物質的に豊かである証明にはなっても、富を続けさせる力があることにはなりません。
目には見えない資産――スキルや知識、信用、健康、時間など――そういったものにこそ、長く続く豊かさの鍵が隠されているのです。このモノとカネ以外の無形資産を「見えない自分資産」と呼んでいます。
そして、「見えない自分資産」を生み出すのが、「ストック支出」というお金の使い方です。
森田 貴子
株式会社ユナイテッド・パートナーズ会計事務所
パートナー・税理士
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