高齢者の「終活ビジネス」被害
近年、高齢者を対象とした「終活ビジネス」の高額化が問題視されています。特に、生前の不安をあおる形で“今のうちに契約を”と勧誘されるケースも多く、契約時点では正当な取引に見えても、家族から見ると過大な負担に感じられることも少なくありません。
消費者庁も、高齢者による「高額な墓・葬儀関連契約」「解約時のトラブル」に関する相談件数が年々増加していると注意喚起しています。
和子さん自身、「悪いことをしたとは思ってないの。でも、言ったら止められると思って…」と小さくつぶやきました。
“年金+貯金での生活”の中で、1,000万円という規模の出金は極めて異例。家族の知らないところでまとまった資金が動くことにより、詐欺被害やトラブルを疑われるリスクもあります。
俊明さんはこう振り返ります。
「最初は疑ってしまって…本当に申し訳なかったです。でも、こういうことこそ、ちゃんと話しておくべきなんだと痛感しました」
高齢者の終活や資産管理については、家族との早めの共有が望まれます。必要に応じて「任意後見制度」「家族信託」などの法的手段も視野に入れると安心です。
お金のことは、亡くなる直前ではなく「元気なうち」に話しておく。――それが、親子ともに後悔しないための第一歩なのかもしれません。
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