「タワマンよりも、土のある暮らしを」
「都心のタワマンって便利だけど、なんか疲れる気がして。休日くらいは自然に囲まれたいなと思って」
そう語るのは、東京都郊外に庭付き一戸建てを購入した佐伯悠真さん(仮名・42歳)。外資系企業に勤める年収1,100万円の会社員で、妻の美和さん(仮名・40歳)は広告業界で年収500万円。2人あわせて世帯年収は約1,600万円。
結婚8年目を迎え、「そろそろ家を買おうか」と話し始めたとき、最初に候補に挙がったのは都心の駅直結タワーマンションでした。資産価値の高さや共用施設の充実、通勤の利便性など、魅力的な点は多かったといいます。
しかし、最終的に2人が選んだのは、都心から電車で40分ほどの郊外エリアにある、庭付き2階建ての注文住宅。土地と建物を合わせて約6,500万円。住宅ローンは月額18万円程度で、十分返済可能と判断しての決断でした。
「日当たりのいいリビングと、小さな庭にハーブや花を植えるのが夢だったんです」
当初は、理想通りの“ゆったりとした暮らし”が手に入ったと満足していた2人でしたが…。購入から2年が経った頃、夫婦はある“違和感”に直面します。
「休日、時間を持て余してしまうんです。最寄り駅まではバスか自転車。カフェもスーパーも遠くて、つい都心まで出てしまう」
また、車での生活が前提の地域だったため、維持費も予想以上にかかりました。ガソリン代に加え、自動車税や保険料、そして車検代。夫婦2人で各1台所有していたこともあり、年間で約60万円が交通関連費として消えていきました。
さらに、維持管理にも手間がかかります。庭の雑草対策、落ち葉の掃除、外壁のメンテナンス…。共働きの2人にとっては想像以上の負担でした。
「タワマンなら管理費を払って終わりだったかも、と思うことはあります」
