(※写真はイメージです/PIXTA)

長年連れ添った夫婦の間でも、退職や年金生活という転機は思わぬすれ違いを生むことがあります。特に「家計」にまつわる一言は、専業主婦として家庭を支えてきた女性にとって深い傷となることもあるようです。今回は、年金暮らしが始まった夫からの“ある言葉”をきっかけに、40年ぶりに社会との接点を求めてハローワークを訪れた女性をみていきます。

年金だけでは足りない現実

真知子さんのように、「年金だけでは生活が不安」と感じている高齢者は少なくありません。総務省『家計調査(2024年)』によると、60代後半の無職夫婦世帯の月平均支出は約25.6万円。一方、同世帯の可処分所得(年金などから税金・社会保険料を引いた額)は約22.2万円で、毎月3.4万円の赤字が発生しています。

 

仮に貯金が1,000万円あっても、赤字が続けば25年以内に底をつく計算です。老後破産や生活困窮を避けるためにも、「年金以外の収入源」を求めて働きに出る選択は現実的な手段と言えるでしょう。

 

「家にこもっていたときよりも、人と話す機会があるだけで気持ちが明るくなりました。たった数時間の仕事だけど、“必要とされている”と感じられるんです」

 

真知子さんはそう語ります。

 

シニア世代の再就職には、年齢やブランクなどの不安もつきまといますが、「人とのつながり」や「自分の居場所」を見つけることで、生きがいや健康面にも好影響をもたらすケースが多くあります。年金を受け取りながら働ける「在職老齢年金」制度もあります。

 

「少しでも家計の足しに」「誰かの役に立ちたい」――。そんな気持ちが、第二のキャリアの第一歩を踏み出すきっかけになるのかもしれません。

 

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