「孤独死」ではなかったが…遅れた到着がもたらした喪失感
健太さんの心に残ったのは、「あと1日早く行っていれば」「なぜあのとき電話をしなかったのか」という強い後悔でした。
「いつも通りのメッセージが、“最後”になるなんて思ってもいませんでした。毎日、LINEの通知を見るたびに“また来るんじゃないか”って思ってしまうんです」
高齢単身世帯が増える中で、こうした“静かな最期”をどう防ぐかが社会的な課題となっています。
現在、自治体や民間企業が提供する「見守りサービス」や「高齢者向け通知機能付き家電」などの仕組みが広がっています。
●ポットや冷蔵庫の開閉を感知し、一定時間使用がないと家族に通知が届くサービス
●高齢者のスマートフォンに、緊急時自動発信機能を備えるアプリ
●地域包括支援センターによる訪問・安否確認(要登録)
厚労省や総務省が推進する「地域共生社会」づくりの一環として、こうした制度は今後ますます重要になります。
最後に、健太さんはこう語ってくれました。
「母は“迷惑をかけたくない”という気持ちが強い人でした。でも、誰にも気づかれずに亡くなるなんて、本人も本意ではなかったと思います。もっとちゃんと話しておけばよかった。もっと“もしもの時”の準備をしておけばよかった。そう思うと、悔しさが止まりません」
「老後は元気でいられればそれでいい」と思いがちですが、“元気なまま突然終わる”という現実が、今この国では確かに増えています。わずかなサインに気づくのが難しい今だからこそ、家族だけで抱え込まず、外部の仕組みに頼ることも、後悔を減らす選択肢のひとつです。
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