(※写真はイメージです/PIXTA)

ある日、帰宅した洋介さん(39歳・仮名)は、妻が小3の娘をシールのことで強く叱る場面に出くわします。しかし、娘が漏らした「私、そんなにシールいらないよ……」という言葉で事態は一変。パート代をつぎ込んでシールにのめり込んでいたのは、実は妻のほうだったのです。パート代を費やし、SNSで入荷情報を追い続けていた妻──その背景には、子ども時代の“満たされなかった思い”がありました。

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いつもより強い声で娘を叱る妻

大前洋介さん(39歳・仮名)は妻・苑子さん(35歳・仮名)と小3になる娘と神奈川県内の私鉄沿線で暮らしています。洋介さんが仕事から帰宅したある日、玄関に足を踏み入れると、リビングから妻・苑子さん(35歳・仮名)の鋭い声が響きました。

 

「なんでお友達に気前よくシールをあげちゃったの!?」

 

小3の娘が、妻が買い集めていた「レアシール」を友達にあげてしまったらしい。普段は穏やかな妻のただならぬ様子が気になって「どうしたの?」と声をかけると、妻は半ば呆れたように説明しました。

 

しかし娘の口から出た言葉は予想外のものでした。

 

「シールはママがいっぱい買ってくれるから……。私、そこまでシール交換したくないよ」

 

涙ぐみながら話す娘に、洋介さんは「えっ?」と固まりました。

 

娘がシール帳を持って友達とシール交換していることは知っていた洋介さん。「自分も子供の頃にカードを交換していたっけ。友達とやりとりすることで交渉術とかいろいろ学べるんだよな」と懐かしく思っていたといいます。

 

令和の今は立体的でプクッとしたキラキラしたリールがたくさんあり、「さすがに平成とは違うよな。でもいつの時代も子供はシールが好きなんだな」と懐かしく思っていたところでした。

 

ところが、シールに夢中なのは娘ではなく、実は妻のほうだったのです。

妻が語った“子ども時代の傷”

妻は深く息をついて言いました。

 

「私が子どもの頃はシール交換がすごく流行っていたの。でも親が厳しくてほとんど買ってもらえなかった。仲間外れにされたこともあって……。娘には同じ思いをさせたくなかったの。だから娘が『明日、お友達とシール交換するんだ』と言ったときについ先回りをしてしまったの。気づいたら、私のほうが夢中になってしまっていたの」

 

娘のために買い与えていたはずのシールは、いつの間にか妻自身の“満たされなかった過去”を埋める道具になっていました。

パート代が「シール代」になっていた

苑子さんのパート収入は月6〜8万円。洋介さんは「美容代やスマホ代、ママ友付き合い、娘とのちょっとしたお茶代に消えているのだろう」と漠然と思っていました。

 

しかしここ最近はシールやシール帳などのアイテムを買うために月に3〜4万円単位で使っていたことがわかりました。

 

SNSでレアシールが出ると知れば開店前から並び、抽選販売なら複数応募、時にはパートと家事の合間を縫って遠方のショップまで足を運んでいたといいます。

 

洋介さんは娘のことを妻に任せきりで、リビングに出しっぱなしのシール帳も
「今どきはキラキラしたものが多いんだな」と軽く流す程度。

 

しかし思い返してみると、妻の“気になる変化”はいくつもありました。

・スマホを見ている時間が急に長くなった
・平日の昼間にLINEすると、普段行かない街にいる
・一瞬「浮気か?」と思う瞬間もあった

 

ただ、妻の見た目はむしろ地味に。毎月行っていた美容院も回数が減っていました。

 

「浮気ならもっと派手になるはず……。でもなんだろう?」


疑問を抱きつつも、仕事の忙しさを理由に追及せず放置していたのです。これがあとになって、大きな後悔につながります。

家計への影響が迫っていた

洋介さんの年収は700万円。堅実に暮らしているつもりでも、妻の“推し活”が続けば家計に影響があるのは時間の問題でした。

 

「パート代くらいは妻の自由にすればいい」と思っていた。その“無関心”が、妻の暴走を誰にも止められない状態にしていたのです。

 

今回の件で一番傷ついたのは娘でした。

 

「ママが楽しそうだから一緒に見ていたけど、私はお小遣いで買えるくらいのシールがあればよかった。お友達だって、私が持っているシールの量を見たら引くと思う。お小遣いの中で次はどれにしようかなって考えるのも楽しかったから」

 

この言葉に、夫婦はハッとさせられました。

 

苑子さんは娘の楽しみまで奪っていたのです。

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