娘は娘の人生を歩む…信子さんが「覚悟」を決めたワケ
42年間も一緒に暮らしてきた娘がいなくなることで、寂しさを感じるのは当然です。さらに、長い間家事や買い物、生活費など娘に頼っていたことをどうするかといった現実的な問題にも直面。信子さんは呆然し、憂鬱な気持ちに襲われました。
いわば、子どもが独立・巣立ちして家を出たあと、親が強い喪失感や孤独感、虚無感に陥る心理状態――「空の巣症候群」の状態です。
娘の桂子さんは初の一人暮らしです。「寂しくて戻ってくるんじゃないか。そうなればいいのに……」。ついそんな考えが浮かんだ信子さんは、自己嫌悪に駆られました。しかし、桂子さんはすぐに自分だけの生活に慣れた様子です。
「私、実家暮らしといっても家事も料理もやってたし、家にお金も入れてたし、何でもできると思ってた。でも、全然違った。お父さんとお母さんに支えてもらってたことがたくさんあったんだって、ひとりになって気づけたよ。ありがとう」
そう感謝を語る桂子さんに、夫婦2人で生きていく人生をしっかり受け止めなければと、覚悟を決めたのです。
信子さんは夫と話し合い、家事を分担することはもちろん、家計の見直しも一緒に考えることに。節約を心掛けているつもりでしたが、それでもまだ削れる部分がありました。
1つを大きく削るのではなく、食費を少し減らす、電気をすぐに消すといった小さな工夫を重ねること。そして、スマホは格安SIMに乗り換え、自動車保険を見直すことで、収入の範囲内で生活することを目指すことにしました。
「買い物に何度も行くと無駄に買ってしまう。週に1度、2人で行こう」「お風呂掃除や食事後の洗い物、洗濯物の取り込みは夫が担当する」など、行動や分担を工夫することで、正成さんとの会話も増えてきたといいます。
子どもが独立した後の不安は解消できる
信子さんのケースのように、子どもが巣立つと単なる寂しさだけではなく「生活リズムの乱れ」「家計の不安」「家の雰囲気の変化」などが同時に押し寄せ、精神面・経済面の両方に影響を及ぼすことがあります。一緒に暮らした年月が長いほど、それは大きくなりがちです。
しかし、できることから少しずつ取り組むことで、これからの暮らしの土台は十分に立て直せます。大切なのは、「子どもの独立後の不安は、適切な手順を踏めばゆっくりと解消していける」という視点を持つことです。家事分担の工夫や支出の見直しといった小さな積み重ねが、やがて大きな安心につながります。
子どもがいなくなった寂しさはなかなか拭えないかもしれませんが、世間を見れば夫婦2人暮らしは当たり前。親であれば、子どもの「独立したい」という気持ちを応援することが大切です。これからの人生をどう生きるかを夫婦で考え、焦らないこと。できることから取り組みましょう。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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