(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査は実際にどのような手順で始まり、どのようなやりとりを経て終わるのでしょうか。本稿では、税務調査の「一日の流れ」をみていきます。納税者が不利な条件を飲まないために守るべき防衛線と、調査官の本当の狙いについて木戸真智子税理士が解説します。

過去の資料は、「あるべき場所にある」こと

調査対象は基本的に過去3年分ですが、継続的な取引の確認が必要な場合は5年分におよぶことも。総勘定元帳、領収書、請求書など、帳簿作成の根拠となった資料をすべて揃える必要があります。

 

準備する書類の量が膨大になるため、まずはスペースの確保が必要です。最も重要なのは、過去の資料が「あるべき場所にある」こと。紛失や未整理は調査官の心証を悪くし、痛くない腹を探られる原因になります。

当日の流れ…「世間話」こそが最大の山場

調査当日は、午前10時ごろに調査官が来訪します。 午前中は「インタビュー」の時間です。事業内容や経緯について、世間話を交えながら会話が進みますが、油断は禁物です。

 

調査官は雑談をしているようで、実は「調査すべきポイント」を探っています。この時間の対応が、その後の調査の成否を決めるといっても過言ではありません。曖昧な回答は避け、明確に答えられるよう税理士と事前に打ち合わせをしておきましょう。税理士が立ち会う場合、このインタビューだけ出席し、あとは税理士に任せて仕事に戻ることも可能です。

 

午後は書類のチェックに移りますが、帳簿をみずにオフィス内の見学や業務フローの確認を優先する調査官もいます。いずれにせよ、調査官は基本的には17時には税務署に戻って報告しなければならないので、夕方16時ごろまでに、最後に税理士を含めた「まとめ」の話し合いが行われます。ここで、調査官が目星をつけた「論点(追徴の可能性があるポイント)」が提示されます。

 

調査官もプロですが、短期間の調査で事業の全容を完璧に把握できるわけではありません。勘違いや思い込みで、“黒”だと疑ってかかってくることもあります。

 

重要なのは、「調査官の指摘がすべて正しいとは限らない」という認識を持つことです。 事実と異なる認識を持たれたまま進めば、思わぬ追徴課税を招きかねません。わからないことは聞き返し、違う点はその場できっぱりと訂正する。この姿勢が自分を守ります。

 

\11月29日(土)-30日(日)限定配信/

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

 

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