「月額12万9,000円」…思わず目を疑った将来の年金額
都内在住の会社員・藤田尚之さん(仮名・54歳)。年収は約680万円、子育てを終えて住宅ローンの完済も目前という“順調な人生”を歩んできた藤田さんですが、今年届いた「ある書類」によって、老後への不安が一気に現実のものとなったといいます。
「正直、もっともらえると思っていました。60歳まで働いて、それなりに厚生年金も払ってきた自負があったので…」
そう語る藤田さんが見たのは、日本年金機構から届いた「ねんきん定期便」。その中にあった「65歳から受け取れる老齢年金の見込み額」に、目を疑ったといいます。
「月額12万9,000円」――これが65歳以降に受け取れる年金額の試算でした。
「家のローンも終わったし、これからは老後資金を貯めようと考えていた矢先でした。妻もパートで働いていますが、年金額を合わせても20万円ちょっと。これで医療費や介護が必要になったらどうなるのか…と思うと、不安でたまりませんでした」
藤田さんのケースは、決して珍しいものではありません。厚生労働省『令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、老齢厚生年金の平均受給額は以下のとおりです。
●老齢厚生年金(全体平均):月額14万7,360円
●国民年金(老齢基礎年金のみの自営業等):月額5万7,700円
また、夫婦2人で受給するケースでも、平均月額は23万2,784円にとどまっています(厚生年金+基礎年金の夫婦モデル)。
「年金だけで悠々自適な老後」というイメージは、すでに過去のもの。退職金の有無や、老後の生活水準、健康状態などによって、必要な生活費は大きく異なります。
