(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化の進展とともに、特別養護老人ホーム(いわゆる「特養」)への入所は多くの家庭にとって現実的な選択肢となりつつあります。要介護3以上の高齢者が対象とされ、医療と介護の連携によって、日常的な生活支援を受けながら長期的に暮らせる施設として注目されています。しかし、本人にとっては住み慣れた自宅を離れることへの戸惑いも大きく、「ここは自分の家ではない」と感じ続ける人も少なくありません。家族にとっても、安心と引き換えに“見えなくなる暮らし”への不安や後ろめたさが残るケースが多いのが実情です。

「最近、母が“帰りたがっている”と聞いて」

「母が“ここにいるのはおかしい”って、最近よく言うようになったんです――と、ケアマネジャーさんから連絡が来て。気が動転しました」

 

そう語るのは、神奈川県に住む会社員・三浦俊明さん(52歳・仮名)。86歳の母・節子さん(仮名)は、認知症と身体機能の低下により、2年前から特養に入所しています。要介護3の認定を受けており、食事・排泄・入浴・移動に一部介助が必要な状態です。

 

「はじめは月に1〜2回面会に行っていました。でも最近は、対面の機会が減っていて……久々の電話連絡で、母の言動が変わってきていると聞き、すぐに施設へ向かいました」

 

施設の面会スペースに通されると、節子さんはやや緊張した表情で車椅子に座っていました。俊明さんの姿を見た途端、一瞬ふっと笑ったかと思えば、すぐに涙ぐみながらこうつぶやいたのです。

 

「ここ、私の家じゃないのよ……」

 

その声はあまりにも静かで、しかし耳に残る響きでした。

 

「何も言えませんでした。頑張ってここに馴染もうとしてきた反面、心のどこかで“自分の居場所ではない”と葛藤を抱えていたんだと思います」

 

節子さんの部屋へ案内された俊明さんは、入り口の壁に貼られたA4サイズの紙に目を留めました。そこには、こう記されていたといいます。

 

「外泊・外出の希望が続いていますが、安全のため、現在は対応を見合わせております」

 

「母に見えないように貼ってあるつもりだったんでしょうが、ベッドからの角度では見える位置で。しかも“希望が続いています”って、そんな言い方……。ただの“クレーム処理”みたいで、胸が苦しくなりました」

 

施設側としては、コロナ禍を経て面会や外出の基準が厳格化された背景があるものの、「本人の感情や言葉を“業務的に処理する空気”が漂っていたことにショックを受けた」と俊明さんは語ります。

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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