年金暮らしの森下さん(69歳)は、月21万円の年金で夫と静かな生活を送っています。しかし、想像以上のスピードで老後資金が減る日々と、その原因である「長女と孫たち」に食傷気味。一方で、独り身でほとんど姿を見せない、「そっけない長男」の存在にありがたみを感じるように。その理由を見ていきましょう。

年金月21万円・69歳女性、娘の訪問に脅えるワケ

地方の小さな商店街のはずれに暮らす森下恵子さん(69歳・仮名)は、年金暮らしになって4年。夫の雅夫さん(69歳)と一緒に、静かな老後生活を続けています。

 

夫婦の年金は合わせて月21万円ほど。年金生活に入り約4年、2,100万円ほどあった貯金は1,700万円にまで減りました。家の修繕や生活費の補填、夫婦の温泉旅行などもありますが、減少スピードの早さの原因の一つが「長女とその子ども」の存在だといいます。

 

森下さん夫婦には2人の子がいます。 長女の由紀さん(37歳)は車で30分ほどの距離に住む主婦ですが、毎週のように顔を見せにきます。夫を置いて来る代わりに、小学生の息子(8歳)と娘(6歳)を連れてくることがほとんど。親を心配してわざわざ会いに来ている、孫とも頻繁に会わせてあげている、“親孝行な娘”と自認しているようです。

 

しかし、森下さんは、そんな娘の本当の目的に気づいています。それは、森下さんの家にある食料や日用品の在庫を持っていったり、いっしょに買い物に行ったりすることです。

 

「お母さん、洗濯洗剤のストックとお米も少し分けてもらえる?」
「一緒に夕飯の買い物行こうよ(ついでに、かごに自分の家用の食材を入れる)」

 

1回分が4,000~5,000円分に上ることも少なくありません。 それが何度も続くと、家計を圧迫するのは当然です。

 

“実家の物は自分のもの”という意識が抜けないのかもしれません。私たち、もう年金暮らしなのに――。そう溜息をつきます。ですが、欲しいといわれると、強く断ることもできません。

止まらない娘の「おねだり」

支出は食材や日用品の“おみやげ”だけにとどまりません。最近もこんなことがありました。

 

「上の子はタブレットと子供用スマホは使える。でも、パソコンもできないとね。プログラミング教室もいいと思って」

 

「やっぱり英語力も必要。幼稚園から習わせてるママ友も多いのよ。ダンスも必修になるから、習わせたいし……」

 

そういった後に、「でも、今そんなお金の余裕がなくて」と――わかりやすく“おねだり”をしてくるのです。

 

孫の誕生日やクリスマス、入学祝いの折には、補助輪付き自転車、学習机、ランドセルなど高額な商品も買い与えてきました。この先はさらに教育費が増えていくことが予想されます。しかも、2人分です。

 

「最近、上の孫が『おばあちゃんとミッキーに会いに行きたい』って言ってきたんです。本当にかわいい子です。でも、娘が言わせたんじゃないか、また私たちがお金を払うんだと思うと、『うん』って言ってあげられませんでした」

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