適用開始は2025年4月1日から遡及適用
「通勤手当」の非課税限度額が引き上げられる。改正後の非課税限度額は、2025年4月1日以降に支払われるべき通勤手当に適用される。判定の基準は給与規定で定められた「支給日」であり、支給日が2025年3月以前の場合は旧限度額となる。
ただし、以下のケースでは対象外となる。
●2025年3月31日以前に支払われた通勤手当
●2025年3月31日以前に支給されるべき通勤手当で、支給日が4月1日以降のもの
●上記2つに該当する場合の差額追加支給
企業は自社の通勤手当規定を確認し、対象従業員を洗い出す必要がありそうだ。
年末調整での精算手順
遡及適用により、2025年4月1日以降に支払われるべき通勤手当で、旧限度額を超えて課税された分は年末調整で一括精算が可能だ。手順は以下の通り。
①課税済み通勤手当の抽出
施行日前(11月20日)までに支払われた、4月1日以降支給予定の通勤手当で、改正前限度額を超えて課税されていた金額を特定する。
②源泉徴収簿への記載
余白に「非課税となる通勤手当」と記入し、対象月数・計算式・合計額を明記。給与計算ソフトで自動補正される場合は手動記載不要。
③給与総額からの差し引き
給与総額から非課税分を差し引き、年末調整を実施。源泉徴収票「支払金額」欄も非課税分を除いた正しい金額に修正。
具体例(片道50kmの自動車通勤の場合)
片道50㎞の通勤で、通勤手当が毎月3万円支給されているとする。
改正前
非課税限度額:28,000円
課税対象となる通勤手当:30,000円-28,000円 =2,000円
給与総額に2,000円分が加算され、所得税が計算されていた。
改正後(2025年4月1日以降支給分)
非課税限度額:32,300円
支給される通勤手当30,000円は全額非課税。
これまで課税されていた2,000円は新たに非課税となる。
年末調整での精算
4月〜10月(7ヵ月分)に課税されていた通勤手当:
2,000円 × 7ヵ月 = 14,000円
年末調整では、給与総額から14,000円を差し引き、再計算する。給与にこの差額を反映すると、源泉徴収税額が減額されることになる。
退職者・中途入社者の対応
退職者と中途入社者の対応は、下記の通り。
退職者:4月1日以降に支給されるべき通勤手当があった場合、源泉徴収票を再交付し、非課税分を反映。摘要欄に「再交付」と記入。本人は確定申告で過納税の還付を受けられる。
中途入社者:入社時の給与規定に従い、年末調整で非課税分を反映。
追加支給や公共交通機関併用の場合
追加支給や公共交通機関併用の場合は、下記の通り。
追加支給の場合:4月1日以降の遡及分を追加支給として支払う場合、合計額が改正後の非課税限度額内であれば全額非課税。3月以前分は対象外。
公共交通機関併用通勤:両方の非課税限度額を合算可能。ただし1ヵ月あたり上限15万円。
駐車場代も対象?
人事院勧告では、2026年4月以降に65km以上の区分を5km刻みで拡張し、上限66,400円の新設案や駐車場補助月額5,000円の新手当案が提案されている。駐車場代については、年末にまとめる税制改正大綱に制度の拡充を盛り込む案が浮上している。
今後も通勤手当制度の改定が予想されるため、最新情報の確認と社内規定の整備が重要であるといえそうだ。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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