ライフライン停止を防ぐ“制度”も…活用されていない現実
たとえば、各自治体では「生活保護」「社会福祉協議会による一時的な生活支援」など、複数の支援制度を用意しています。
また、電力・ガス事業者の中には、生活困窮者を対象に支払い猶予や分割払いに応じる制度を設けているケースもあります。しかし、実際には「申請の方法がわからない」「恥ずかしい」「制度の存在を知らなかった」などの理由で、支援にたどり着けない高齢者が多いのが実情です。
「“もっと早く教えてくれていたら…”という悔しさが残りました。夜中の電話がなかったら、どうなっていたかわかりません」
その後、川井さんは百合子さんをしばらく東京の自宅に引き取り、介護付き有料老人ホームの入居を進めている最中だといいます。
「一見元気そうでも、高齢の親の生活は見えないところで崩れていくんだなと痛感しました。年1〜2回の帰省じゃ、気づけないことがたくさんあります」
高齢者の生活困窮やライフライン停止は、誰の身にも起こり得る問題です。本人の尊厳を守りながら、家族や行政が早い段階で介入・支援できる体制づくりが求められています。
電気も水道も止まり、誰にも助けを求められない夜――。そんな“孤立の瞬間”は、誰にとっても決して他人事ではありません。
「“寒い”と声に出せただけ、まだ救いがあったのかもしれません」
高齢者の異変に早期に気づけるかどうか。その一言の重みが、命をつなぐ分岐点になることもあるのです。
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