娘の本音と、父の“意地”
「本当は怖いんです。ある日突然、連絡が取れなくなったらどうしようって。でも、父の“自分で生きる”という意地を、私が簡単に壊していいのかも悩んでしまって…」
そう語る真美さんは、毎月最低限の食料品と飲み物を宅配で届けるようにしています。「自分で選んでないからありがたくない」と父は言いつつも、誰かが見てくれているという安心感があるのか、最近は「ありがとう」と言ってくれるようになったそうです。
内閣府『高齢社会白書』によると、65歳以上の男性単身世帯はこの20年で3倍以上に増加。こうした“高齢単身男性”は、介護サービスの利用も女性に比べて遅れがちで、支援の手が届きにくい傾向があります。
特に、「自立したい」「迷惑をかけたくない」と考える高齢男性ほど、孤立しやすく、周囲との信頼関係や“支援の届け方”が重要になってきます。
「父を変えることは、もうできないと思います。でも、見守る形で寄り添っていけたら…それが父にとっての“幸せな老後”かもしれません」
そう語る真美さんの表情には、諦めと理解が入り混じっていました。老後の“自立”と“孤立”は紙一重です。どこまで介入し、どこまで見守るのか――。家族にとっても難しい選択が求められる時代になっています。
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