(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者のひとり暮らしが増える中で、「子どもと住みたがらない親」や「親の生活に踏み込めない子ども」の姿も見られます。厚生労働省『国民生活基礎調査』によると、65歳以上のひとり暮らし世帯は約903万世帯。誰にも頼らず、「最期まで一人で生きること」を選ぶ高齢者も少なくありません。しかし、その“覚悟”の裏には、誰にも見せない孤独や不安が隠れているのかもしれません。

娘の本音と、父の“意地”

「本当は怖いんです。ある日突然、連絡が取れなくなったらどうしようって。でも、父の“自分で生きる”という意地を、私が簡単に壊していいのかも悩んでしまって…」

 

そう語る真美さんは、毎月最低限の食料品と飲み物を宅配で届けるようにしています。「自分で選んでないからありがたくない」と父は言いつつも、誰かが見てくれているという安心感があるのか、最近は「ありがとう」と言ってくれるようになったそうです。

 

内閣府『高齢社会白書』によると、65歳以上の男性単身世帯はこの20年で3倍以上に増加。こうした“高齢単身男性”は、介護サービスの利用も女性に比べて遅れがちで、支援の手が届きにくい傾向があります。

 

特に、「自立したい」「迷惑をかけたくない」と考える高齢男性ほど、孤立しやすく、周囲との信頼関係や“支援の届け方”が重要になってきます。

 

「父を変えることは、もうできないと思います。でも、見守る形で寄り添っていけたら…それが父にとっての“幸せな老後”かもしれません」

 

そう語る真美さんの表情には、諦めと理解が入り混じっていました。老後の“自立”と“孤立”は紙一重です。どこまで介入し、どこまで見守るのか――。家族にとっても難しい選択が求められる時代になっています。

 

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