「海外移住の落とし穴」
近年は以下のような理由で「帰国」を選択する高齢者も。
●為替リスク…円安が進むと、日本円での資金が減価し生活費圧迫
●物価の高騰…特にハワイは全米でも生活費が高い州の一つ
●医療アクセス…現地保険が高額・制度が複雑、通訳の問題も
●長期滞在の制約…米国はビザなし滞在が原則90日、長期滞在には条件が必要
また、海外で不動産を購入する際は、日本と異なり固定資産税・管理費・リフォーム費用が想像以上に高くなる傾向があります。リタイアメント移住の先進国といえども、事前の準備が甘いと“資金ショート”につながりかねません。
帰国後、田代さん夫妻は実家近くの古いアパートに身を寄せています。売れなかったハワイの物件は、現地の管理会社に賃貸に出しているものの、空室続きで赤字状態が続いているとのことです。
「“夢を見たかった”という気持ちは今でも否定できません。でも、それが“最悪の投資”になってしまった」
ハワイに限らず、タイ、マレーシア、フィリピンなど、日本人に人気の移住先は多くあります。しかし、「物価」「医療」「為替」「不動産維持費」という4つの現実を直視しないまま踏み出すと、理想の老後が“破綻の入り口”に変わるリスクもあります。
夢を追うことと、冷静な準備をすることは矛盾しません。老後の海外生活を選ぶなら、その国の制度、生活費、保険、言語、住まい──あらゆる項目を「自分の老後に本当に合っているか」で見直す視点が必要です。
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