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部長のミスをカバーすることも“巧妙なゴマすり”のひとつ
事例1.年次評価が近づくにつれ「褒める」頻度が増える
木下さんは、年次評価が近づくと「先日のプレゼン、本当に勉強になりました」「あの判断、さすがですね」などと、上司を対面で褒める頻度が高くなります。
上司が評価点をつける前に自分の好感度を高めようと、タイミングを計ってお世辞を言っているようです。
事例2.考えが違っていても、部長の発言にすかさず同調
森さんは部門会議で部長の発言に対して「まさにその通りです」「鋭いご指摘です」といった発言を繰り返します。実際には森さんの考えは部長と異なっていますが、そのことは黙っています。
少し異なる程度ならば意見を述べることはありますが、その際にも「私もそのように思っています」といった同調の言葉を前置きします。
事例3.「上司が好む言い回し」で資料を作成
近藤さんは社内プレゼン資料を作成する際、上司が好む言い回しを用います。近藤さんの上司は「心理的に安全な職場」という言葉が好きなので、近藤さんはプレゼンの中で必ずといってよいほどこの言葉を一度は使います。
しかし実際には、近藤さんは心理的安全性という言葉について勉強したことはなく、あまり興味もないようです。
事例4.部長のミスを“さりげなく”カバー
部長の吉田さんは数字にやや弱く、資料作成において数値をよく間違えて書いてしまいます。部下の武田さんは、プレゼン資料を提出する前に密かに吉田部長の作成した部分もチェックし、ミスがあれば「ここの数字を新しいものに入れ替えておきました」とオブラートに包んだ言い方でカバーします。
露骨にゴマをすることはありませんが、上司に直接的にへつらうことなく、さりげない形で支援することで、「信頼できる右腕」としての地位を静かに確立しようとしているのです。
これらの事例はゴマすりと呼ばれる社内政治の例です。ゴマすりは、出世や昇進などで有利になるように、上司や権力者に気に入られようとする行動です。
人事評価は、たとえ業務での成果を重視した制度になっていても、評価者である上司の主観に左右される部分があります。また、毎年の人事評価と別に行われる役職昇進時の審査は多くの場合、定性的な評価を含み、上司の主観が影響します。そのため、自分を評価する人からの好感度は自分のキャリアに大きく影響することがあります。
事例1や2のように、評価のタイミングを見計らって褒める、会議で上司の発言に過度に同調する、といった行動は、直接的に好感度を上げることを意図したものです。一方、事例3や4のように、上司の嗜好に合わせた言葉選びや、裏方としての支援を通じて好感度を上げようとする行動は、より戦略的で巧妙なゴマすりといえます。
こうした行動は、単なるお世辞やマナーではなく、会社の中の権力構造や評価制度、人間関係の習慣を頭に入れつつ、それを戦略的に活用する試みといえるでしょう。
