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失われた人間関係と、数字に表れない負担
ここには以前の住まいのような温かさがありません。隣人との立ち話も、顔なじみの医師への相談も消えました。
市営住宅には高齢の単身世帯が多く、廊下ですれ違っても挨拶がない日が続き、自治会も形だけで機能していません。相談相手がいない環境は、数字では測れない負担となり、生活の質を下げていきます。ある日、久美さんは階段の途中で座り込み、息を整えながらつぶやきました。
「こんな暮らし、あと何年続けられるのかしら……」
その声を聞きながら、雄一さんは胸が締めつけられる思いでした。
「11年後」の破綻
雄一さんは再びライフプラン表を広げました。市営住宅に移ったことで浮くはずだった家賃分は、増えた医療費や交通費で打ち消され、むしろ赤字が拡大しているようにみえます。
再計算した結果、貯金380万円が尽きるまでの年数は、およそ11年。75歳の雄一さんが86歳になったとき、資金が底をつく計算でした。家賃を抑えるという一点に目を奪われた結果、老後の生活インフラと健康状態が弱くなり、将来の支出が増えてしまうという逆転現象が起きていたのです。
その晩、久美さんは静かにいいました。
「家賃の数字だけみて安心してしまったのかもしれないね。生活の形が苦しくなったら、本末転倒よね」
雄一さんは深く頷きました。
「体に負担が出れば医療費も介護費も増える。家賃が下がっても意味がないよな」
老後の住まいは、家賃の額面だけではない
翌週、2人はFP事務所で相談しました。そこで、生活動線を中心に住環境を見直し、徒歩圏内に医療機関やスーパーがある場所なら、家賃が多少高くても長期の支出は抑えられる、という説明を受けました。
家賃だけで住まいを選ぶのではなく、健康、距離、人間関係といった「暮らしに直結する要素」を含めて考えるべきだと知ったのです。
帰り道、久美さんはゆっくりと笑いました。
「やっぱり、住まいってお金だけで選んじゃだめなのね」
雄一さんは空を見上げていいました。
「安さは重要だけど、それだけじゃ足りないんだな」
老後の住まいは、家賃の問題ではない
老後の住まい選びは、節約のゴールではありません。健康状態、生活動線、人間関係といった要素は、長期の家計に直結します。家賃が安いはずの市営住宅が、かえって支出増と孤独を招くこともあります。関根夫婦のように、生活の変化が支出を押し上げることは珍しくありません。
しかし、住まいは見直せます。家賃の額面だけにとらわれず、生活と数字の両方をみつめなおすことこそが、老後資金を守るための最も確実な方法といえるでしょう。
波多 勇気
波多FP事務所 代表
ファイナンシャルプランナー
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