「絶対にあの女に渡すな」…79歳・節子さんの“静かな復讐心”
都内の閑静な住宅街で暮らす島田節子さん(仮名・79歳)。一人暮らしで、年金は月に約13万円。つつましい生活を送っていますが、亡くなった夫が遺した実家と金融資産を合わせ、その総額は優に1億円を超える財産を所有しています。
ある日、節子さんは、長年付き合いのある弁護士を自宅に招き、公正証書遺言の作成を依頼しました。遺言書には、彼女の財産の配分について詳細に記されていましたが、その作成の動機は一般的な「円満な相続」とはかけ離れたものでした。
「先生。私の財産は、私の亡き後、すべて長男に渡してほしいんです。ただし、条件があります」 節子さんが指名したのは、唯一の肉親である長男・Aさん(52歳)です。Aさんは既に独立し、自分の家庭を持っていますが、節子さんはここ数年、彼とは疎遠になっていました。
「長男はね、あの女と結婚してから、人が変わってしまった。私への仕送りどころか、年に一度の顔見せさえしない。もちろん、孫の顔も見せてくれない。全て、あの女(長男の妻・Bさん)が吹き込んだんだと思っています」
節子さんの言う「あの女」とは、長男の妻Bさんのことでした。節子さんは、嫁Bさんが長男Aさんの愛情を奪い、自分を孤独にした元凶だと深く恨んでいました。
「あの女だけには、私の血の一滴たりとも渡したくない。長男がもし私より先に死んだり、離婚したりしたら、その財産は絶対にあの女を経由して、孫にも渡らないようにしてほしいんです」
