そうやって死ぬまで独りでいればいい…長男が最後に放った捨て台詞。〈資産2億円〉〈年金月19万円〉あり余るお金・子も孫もいる81歳男性が「強すぎる執着」で失ったもの

そうやって死ぬまで独りでいればいい…長男が最後に放った捨て台詞。〈資産2億円〉〈年金月19万円〉あり余るお金・子も孫もいる81歳男性が「強すぎる執着」で失ったもの
(※写真はイメージです/PIXTA)

豊富な資産を持ちながら、結局ほとんど使いきれないまま人生を終える――。そんな高齢者は決して珍しくありません。「子どもに残したい」「万が一に備えたい」といった理由が明確であれば話は別ですが、なぜか必要以上にお金へ執着してしまう人がいるのも事実です。しかし、その行き着く先にあるのは、誰とも深く関わらなくなる静かな孤独であることも多いのです。今回は、その一端を示す事例とともに、高齢期のお金と心の関係を見ていきましょう。

資産2億円、豊富な資産とともに「たった独りで生きる」ワケ

81歳の佐藤さん(仮名)は、かつて地方都市では有名な企業で勤め上げた元会社員です。妻は68歳のときに他界。50代になる息子2人もそれぞれ家庭を持っており、佐藤さんは一人で暮らしています。

 

年金は月19万円。住まいは広々とした戸建てで、近所でもひときわ目立つ存在です。この家は親から譲り受けた土地に建て替えたもの。自分で作り上げた貯蓄や相続で得た金融資産は2億円以上にのぼります。

 

しかし、その豊かさの裏側には、お金に対する異常な執着が隠れていました。 

 

「これは俺が死ぬまでは、俺の金と家だからな」

 

そう繰り返し口にして、息子やその家族に対して金銭的な援助やプレゼントをしたことはほとんどなく、正月に孫に渡すお年玉も渋々という程度。

 

息子たちは父の財産をあてにしていたつもりはありません。それでも毎回、目の前で見せつけられる強い執着と、何の話をしても泥棒のような態度を取られることに、苛立ちと呆れを感じるようになりました。

 

3年前、長男が「父さん、近所の人との付き合いもないだろ。俺がもっと頻繁に様子を見に来ようか?」と提案すると、「何が狙いだ」と返し、大げんかに。

 

ついに、「そうやって独りで生きていけばいい」と、長男は家族を連れての正月の訪問すらやめてしまいました。そして、その顛末を聞いた次男も、それに続くようにぱったりと佐藤さんに連絡をしなくなったのです。

 

佐藤さんは、株の値動きに一喜一憂し、証券会社の担当者に電話するのが一番の楽しみ。今や、それ以外に趣味といえるものもありません。

 

「もし自分が倒れたら、誰が本当に心配してくれるのだろうか。孤独死して、見つかるのはずっと後になるかもしれない。それでもしかたがないかと思っている」

 

――これまでの習慣やプライドから素直に詫びたり、態度を改めたりすることはできず、心に深い溝を抱えたまま日々を過ごしています。

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