「農家民宿」という選択肢
リゾートや地方では「農家民宿」という選択肢も考えられます。
これは、緩和措置によって旅館業(簡易宿所)の申請が容易になったことを契機として始まりました。
「農林漁業体験民宿業」のことを、一般的に「農林漁家民宿」、特に総称して「農家民宿」と呼んでいます。
「農家民宿」は、「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」の中で、
「農林漁業体験民宿業」とは、施設を設けて人を宿泊させ、農林水産省令で定める農村滞在型余暇活動又は山村・漁村滞在型余暇活動に必要な役務を提供する営業をいう。
と定められているものです。
宿泊料を得て、人を宿泊させる営業を行うことから、旅館業法上の「簡易宿所」営業許可を取得するもののうち、農林水産省令で定める役務を提供するものが「農家民宿」となります。
農村滞在余暇法施行規則第2条に定められる役務を提供する営業を行うのであれば、農林漁業者であるか否かにかかわらず「農林漁業体験民宿業」となります。
つまり一般の人でも農家民宿の運営が可能です。ただし、農林漁業体験イベントを用意して、お客様が希望する場合はそれを実施する必要があります。
緩和措置には以下の点がありますが、県や市町村により緩和の部分に差異があるので、ホームページ等の調査をお勧めします。
緩和されている要件は、次の通りです。
- 旅館業法の要件緩和
- 建築基準法上の規制緩和
- 消防法上の規制緩和
- 道路運送法の適用外
- 旅行業法の適用外
- 食品衛生法の緩和
農家民宿の事例を見てみましょう。
●「やまおう宿&カフェ」(秋田県にかほ市)
農家民宿として家主滞在型の民宿(民泊)を運営しています。
特例を利用し、簡易宿所の許可を申請、宿とカフェを併設した施設の営業(「やまおう宿&カフェ」で検索)。
365日の営業ができることが利点です。農家民宿では、お客様に料理を提供する食品衛生法の許可も緩和措置があります。
鳥海山への登山体験や農業体験のイベントを用意しています。
「民泊新法」によって民泊には180日の営業という縛りがあります。しかし、「旅館業」としての運営、「農家民宿」という選択肢など、365日の年間営業をするための方法論は存在します。運営プランに基づいて、そうした選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
辻 哲哉
楽々プランニング株式会社
代表取締役


