“気づかい”より“会話”を
厚生労働省『国民生活基礎調査(2024年)』によれば、65歳以上の高齢者世帯のうち55.8%が生活意識について「苦しい」と回答しており、特に単身世帯ではその傾向が顕著です。年金収入のみで暮らす高齢者が多いなか、生活費や医療費の負担が重くのしかかり、「節約が当たり前」という生活に陥りやすくなっています。
その結果、つい「お金がない」「そんなの買えない」といった言葉が日常会話に混ざり、無意識のうちに孫世代に“プレッシャー”を与えてしまうこともあるのです。
今回の件を受けて、藤原さんは母と電話で話し、「お金がない」と繰り返すことで息子が気をつかっていることをやんわり伝えたといいます。すると母は、涙声でこう答えたそうです。
「ごめんね…そんなつもりじゃなかったの。気にさせてしまうなんて思わなかったのよ」
藤原さんは今、お金の話を抜きにして、純粋に「会いたい」という気持ちを伝え合える関係性を築き直そうとしている最中です。悠斗くんも、「おばあちゃんが謝ってたよ」と伝えると、「じゃあ、行ってもいいよ」と少し照れくさそうに答えたといいます。
老後のお金の不安も、家族の気づかいも、本当は“話せる関係”の中でこそ、和らげられるのかもしれません。
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