“遺すこと”より“今をどう生きるか”
「息子を責めたいわけじゃないんです。老後、どう生きるかを考えることと同じくらい、どんな形で“財産を遺すか”を考えないといけない年齢なんだと痛感しました」と利雄さん。
現在は、弁護士を交えて「家族信託」や「公正証書遺言」の作成を検討しているといいます。
一方で、美枝子さんはこうこぼします。
「子どもが家を継ぐのが当然、という時代ではなくなりました。うちは一人っ子だから、ゆくゆくは彼が相続するんでしょうけど、“いまの私たちの生活”をないがしろにされるような感覚があって…」
“老後資金は2,000万円必要”という言葉ばかりが独り歩きしがちですが、本当に大切なのは、そのお金をどう使うか――そして、“家族とどう向き合うか”かもしれません。
利雄さんは最後にこう語ります。
「財産なんて、ただの紙切れですよ。大事なのは“気持ちの通い合い”……でも、それが一番難しいのかもしれませんね」
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