(※写真はイメージです/PIXTA)

かつて「老後資金2,000万円問題」が注目されたように、年金だけでは安心できないという不安は、多くの日本人の間に広がっています。一方で、節約や持ち家の活用などで、堅実に暮らすことで「なんとかやっていける」と考える人も少なくありません。しかし、いくら慎重に計画していても、想定外の出費が暮らしを揺るがすことがあります。とくに医療費や家族の問題など、“一時的では済まない出費”が続くと、生活は一変します。

「自分たちだけは大丈夫」は通用しない

高齢者世帯では、医療費や介護費用に対する不安が根強く存在しています。内閣府『令和6年版 高齢社会白書』によれば、60歳以上の人が老後に備えて必要だと考えることとして、「健康に関する備え(健康の維持・増進、介護予防、保険、病気やけがの治療等)」を挙げた人が全体の8割を超え、他の項目を大きく上回りました。

 

さらに、介護保険サービスにかかる1割負担の費用でも、回数や種類によっては月1万円を超えることがあり、想定外の“継続的支出”につながりやすいのが現実です。

 

「今までの生活なら、年金だけで十分やっていけたんですよ。でも一度崩れると、元に戻すのは難しい」

 

大川さんは今、地域の生活相談窓口で家計の見直しや支援制度の活用について相談を始めています。

 

「“贅沢しなければ年金で暮らせる”という考えは甘かったのかもしれません。もっと早く、こうなるリスクを考えておくべきでした」

 

老後における家計破綻は、決して“浪費”によるものばかりではありません。真面目で堅実な暮らしの中にも、想定外のリスクが潜んでいます。

 

必要なのは、「何があっても家計を立て直せる柔軟性」と「いざというとき相談できる窓口の確保」。つつましく生きることと、何かあったときに立ち止まれる“余白”の両方を持つことが、長い老後には必要なのかもしれません。

 

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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