(※写真はイメージです/PIXTA)

かつて「老後資金2,000万円問題」が注目されたように、年金だけでは安心できないという不安は、多くの日本人の間に広がっています。一方で、節約や持ち家の活用などで、堅実に暮らすことで「なんとかやっていける」と考える人も少なくありません。しかし、いくら慎重に計画していても、想定外の出費が暮らしを揺るがすことがあります。とくに医療費や家族の問題など、“一時的では済まない出費”が続くと、生活は一変します。

週1回の外食が、心の支えだったが…

千葉県に住む大川博文さん(仮名・71歳)は、3年前に長年勤めたメーカーを退職しました。持ち家はローン完済済み。妻(68歳)と二人暮らしで、退職金は約1,200万円、年金は夫婦合わせて月21万円。

 

「贅沢はできませんが、週に一度、近くの和食屋さんで定食を食べるのが楽しみでした。夫婦で1,500円くらい。それだけが唯一の“ちょっとした贅沢”だったんです」

 

テレビは10年以上前のもの、携帯電話も格安プラン。食費も月4万円以下に抑えるなど、生活全体を切り詰めた“節約型老後”でした。

 

事態が変わったのは、今年春のこと。妻が自宅の階段で転倒し、大腿骨を骨折。入院・手術ののち、3ヵ月間のリハビリが必要になったのです。

 

「医療保険に入っていたので手術費用自体はある程度まかなえましたが、その後が問題でした」

 

通院の交通費や、家事支援サービスの利用、食事の宅配、手すりの設置など、介護保険外の費用が毎月5万円近く発生。

 

さらに、介護保険を利用した訪問リハビリや通所リハビリも1割負担とはいえ、利用回数が増えると月数千円〜1万円規模でかさんでいきました。

 

「気づけば、生活費とは別に毎月8万円近く出ていた月もありました。貯金から取り崩す生活が続くと、どこか不安になりますよね」

 

やむなく週1回の外食はやめ、新聞も解約。電気の基本料金を抑えるために契約アンペアも下げました。

 

「毎月通帳を見て、残高が減っていくのがつらい」と語る大川さん。楽しみだった外食をやめたことで、夫婦の会話も減ったといいます。

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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