孤独だけではない「期待の裏切り」
国立長寿医療研究センターのでは、高齢者が心身の機能低下によってフレイルに陥るリスクは、日常の身体活動量や人とのつながりと密接に関係していることが示されています。
例えば、「1日あたり5,000歩以上の歩行」や「1日8分以上の中高強度の運動」により、フレイル発症リスクが約半分に抑えられることがわかりました。また、難聴のある高齢者は、家族以外との関係性が希薄になりやすく、社会的ネットワークのサイズが小さい傾向にあるとされます。
さらに、心身の状態と並んで、主観的幸福感や自尊感情もフレイルと相関しており、健康な高齢者ほど生活満足度や自己肯定感が高い傾向が確認されています。
こうしたことからも、身体の健康維持とあわせて、社会的つながりの確保や心理的充足感が、フレイル予防には重要だと考えられます。
高齢者施設の整備や在宅介護支援が進む一方で、年末年始のような節目の時間には、家族の“存在そのもの”が何よりの心の支えになります。
「家族旅行」や「帰省の断念」そのものが悪いわけではありません。ただ、それが「約束の反故」や「説明不足」によって伝えられたとき、高齢者に残るのは“納得”ではなく“寂しさ”です。
松村さんはこう締めくくりました。
「来年こそは、ってまた願ってみようと思います。元気でいれば、きっと会えると信じていますから」
年末年始の過ごし方が多様化するいま、家族との向き合い方そのものが、静かに問い直されています。
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