成年後見制度の検討を始めたが…
岡本さんは、親族と相談し、母の金銭管理を支援する方法として「成年後見制度」の利用を検討し始めました。
成年後見制度とは、認知症などで判断能力が低下した人の財産管理や契約行為を、家庭裁判所が選任した後見人が代行・サポートする制度です。2022年度の利用件数は約25万件にのぼり、特に高齢者の単身世帯や、親族が遠方に住んでいるケースでの活用が進んでいます。
ただし、「申立てに時間と費用がかかる」「日常の細かい支払いに制限が出る」「いったん制度を使うと簡単にやめられない」など、慎重な判断が求められます。現在は、地域包括支援センターの職員とも相談しながら、母の判断能力を見極めている段階とのことです。
高齢の親が一人でお金を管理している家庭は多く、「通帳は触れないようにしている」という子世代も少なくありません。しかし、詐欺や横領のような“第三者の関与”がない場合でも、本人の無自覚な金銭トラブルは確実に起き得ます。
「もしこのまま気づかずにいたら、老後資金が完全に尽きていたかもしれない。“通帳を見る”ってすごく大事なことだと思い知りました」
年金が少なく、貯蓄の取り崩しで暮らす高齢者が増える中、金銭管理の見直しはもはや“介護の前段階”ともいえる重要なテーマです。帰省のタイミングや記帳の際に、さりげなく確認するだけでも、家族の安心につながる第一歩になるのではないでしょうか。
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