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ロシアは資源、中国は民需の製造業に強み…経済安全保障上の懸念を補い合う関係
ロシアは外需依存度の高い国です。GDPの需要構成を見ると(図表17)、個人消費の比率は52.0%と世界平均を4.5ポイント下回り、総固定資本形成(≒投資)も21.4%と世界平均を3.6ポイント下回るなど内需の弱さが目立ちます。一方、純輸出等(含む在庫変動)は8.4%ものプラスとなっています。
また、ロシア経済は鉱業・エネルギー等供給業に強みがあります。総付加価値(TVA≒GDP)の産業構造を見ると(図表18)、鉱業・エネルギー等供給業が12.6%を占めており、世界平均を6.5ポイントも上回っています。
国土の広いロシアは、石油・石炭、天然ガス、ボーキサイト、希土類(レアアース)、肥料原料(カリウム等)、木材などの資源に恵まれているため、それらを輸出するのに加え、その加工産業も盛んです。また、第一次産業の比率は3.8%で世界平均並みですが、小麦など穀類、甜菜、牛乳、じゃがいも、ヒマワリの種、トウモロコシ、家禽、大豆などの農業生産も盛んです。
他方、製造業の比率は13.7%で世界平均を下回っています。防衛産業(レーダー、ミサイルなど)や高性能航空機、宇宙船、造船などは強いものの、民需関係の製造業が弱いのです。
したがって、ロシアと中国が関係を強めると、両国とも経済安全保障上の懸念を軽減できると言えるでしょう。
ロシアは鉱物資源、エネルギー、農業生産が得意なので、それらが不足し大量に輸入している中国にとっては頼りになる存在です。一方、ロシアは民生用工業製品などの製造が苦手なので、それらの大量生産が得意な中国は頼りになります。
中国がロシアに求めるのは「資源」…投資は第一次産業に集中
中国がロシアで投資している業種を見てみましょう(図表19)。第1位は鉱業の50億ドルで全体の41.4%を占め、第2位は農業、林業、畜産業、水産業の28億ドルで23.0%、第3位は製造業の16億ドルで13.0%を占めています。
特に、農業、林業、畜産業、水産業分野に関しては、中国が世界に投資した全体額の約15%を占めています。
一方、製造業に関しては、中国は世界で巨額の投資をしているため、その全体に占めるシェアは1%程度にとどまります。したがって中国は、対ロシア投資において、製造業ではなく、第一次産業や鉱業に投資価値を見い出していると言えるでしょう。



