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経済面では双方の弱点を補う「相互依存関係」
中国がロシアへ輸出している品目を見ると(図表14)、「機械・部品」が22%、「電気機器・部品」が21%、「輸送機械・部品」が8%で、これらを合わせるとおよそ5割です。また、「工業原料類」が25%を占め、また「生活用品類」も18%と多く輸出されています。
他方、中国がロシアから輸入している品目を見ると(図表15)、「エネルギー類」が3分の2を占め、「工業原料類」や「食品類」も多いことが分かります。
鉱物資源に恵まれ、農業が盛んなロシアは、その広大な国土から生み出されるエネルギー、工業原料、食品などを中国に輸出しています。
これを中国の立場から見ると、人口が多いため食糧は不足しがちで、世界の工場を運営するには多種多様な工業原料や大量のエネルギーを必要としますので、頼りになる輸入元ということになります。
一方、中国は工業製品を生産するのが得意なので、さまざまな民需関連の、安価で高品質の工業製品をロシアに輸出しています。ただしロシアは、軍需産業には一日の長があります。経済面では貿易を通じて双方の弱点を補う相互依存関係にあると言えるでしょう。
中→露は121億ドル、露→中は6億ドル…投資関係は“片思い”
ロシアと中国の投資関係を見ると、中国の対ロシア直接投資累積額は121億ドルほどと、日本からの約24億ドルを大きく超えており、ロシアGDP比でも0.8%とその影響は小さくありません。ただし、米国の対ロシア直接投資累積額は約125億ドルと中国とほぼ同規模です(図表16)。
さらにフランスの対ロシア直接投資累積額は232億ドル、ドイツも196億ドル、英国も156億ドル、イタリアも141億ドルと、ロシアにとっては米中より欧州諸国の方が大規模な投資元でした。ただしウクライナ侵攻後の制裁に伴い多くの欧米企業の撤退が見られ、今後統計でも明らかになると思われます。
一方、ロシアから中国への直接投資額は過去15年(2006~20年)計で約6億ドル(国地域別では第43位)と、中国にとってロシアはそれほど大きな投資元ではありません。



