「誰にも相談できないの…」都内・築40年の“敷地90坪”一軒家にひとり暮らす76歳女性、〈年金月18万円〉で“外商付きデパート通い”を続ける日々と「隠れ貧困」の現実

「誰にも相談できないの…」都内・築40年の“敷地90坪”一軒家にひとり暮らす76歳女性、〈年金月18万円〉で“外商付きデパート通い”を続ける日々と「隠れ貧困」の現実
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の「貧困」は、必ずしも“見える形”で表れるとは限りません。「住宅や身なりからは想像できないほど」家計が逼迫しているケースもあります。「住宅ローンや家賃の支払いがないから生活はできている」「子どもに心配かけたくない」と、誰にも頼らず耐える高齢者の“隠れ貧困”は、今や社会の深層で進行しています。

見かけと中身が一致しない“ハウスリッチ・キャッシュプア”

滝本さんのように「不動産という資産はあるが、現金がない」状態は、「ハウスリッチ・キャッシュプア」とも言われる現象です。固定資産税や修繕費など維持費がかかる一方、住み替えや処分も難しく、「家があるのに生活に困っている」という矛盾を抱える高齢者が存在しています。

 

実は、幸子さんには結婚して家庭を持つ長男がいます。けれど、「自分のことで精一杯だろうし、こんなこと相談できない」と連絡を控えているそうです。

 

一方、家族側も「大きな家にひとりで暮らしている母は、きっと大丈夫」と思い込み、日常的なサポートには踏み込めていないとのこと。

 

親子間の距離感が、こうした“見えない貧困”をより深刻にしています。

 

「人に迷惑をかけたくない」「知られたくない」――そんな気持ちが、相談や支援の選択肢を閉ざしてしまうことがあります。ですが生活支援相談窓口や包括支援センターでは、年金収入や資産に関係なく高齢者の生活不安について相談することが可能です。

 

「本当は、誰かに『もう無理しなくていいよ』って言ってほしいだけなのかもしれません」

 

そう語る滝本さんの目には、疲れと安堵がにじんでいました。誰にも頼れないと思い込むその瞬間にこそ、社会の側が「見えないSOS」に気づく必要があるのかもしれません。

 

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