(※写真はイメージです/PIXTA)

人生100年時代を迎え、老後の過ごし方は多様化しています。特に、子育てや仕事を終えたシニア世代が「第二の人生」として“やりたかったこと”に挑戦するケースが増えています。なかでも「海外旅行」は人気の高い項目のひとつです。しかし、相続財産を使って非日常を楽しんだ後、「生活設計に見直しが必要になる」パターンも少なくはありません。

高齢期の相続活用は慎重に――老後の資金計画に注意を

相続財産を使う際、注意すべきなのは「その後の生活資金の見通し」です。

 

老後の生活費は公的年金だけでは足りず、金融庁の「老後2000万円問題」でも知られるように、自助努力による備えが不可欠です。

 

実際、生命保険文化センターの調査(令和5年度)では、8割以上が老後生活に不安を感じていると回答しており、その不安の内容として最も多かったのが「公的年金だけでは不十分」(79.8%)という声でした。年金だけに頼る生活では不安が残る――そんな実感を抱える人は少なくありません。

 

その後、文江さんは地元のコンビニで再び働き始めました。週2回、短時間の勤務ですが、生活と心のリズムが戻りつつあるといいます。

 

「贅沢はもうできないけれど、“次の楽しみ”は作っておきたい。今度は国内の温泉巡りでもしようかなって思っています。あのヨーロッパの旅が、今の私の支えですから」

 

シニアの生き方は多様であり、“思い出をつくるための投資”を後悔しない人もいます。ただし、老後の生活資金は「予測不能な出費があること」を前提に計画しておくことが肝心です。夢と現実のバランスをどうとるか――それは、誰にとっても他人事ではない問題なのかもしれません。

 

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