(※写真はイメージです/PIXTA)

“子や孫のために”と高齢者が老後資金を切り崩すケースがあります。その中でも「教育費」や「住宅取得費」など、長期的・高額な援助が継続する場合には、援助する側の生活に支障が出ることも少なくありません。

「学費を出してくれないと困るって言われて」

「援助を始めたのは、孫が高校に入ったタイミングでした。娘の家庭は共働きでしたが、家のローンもあって“学費を出してくれないと困る”と。最初は大学の入学金までのつもりだったんですけどね…」

 

そう語るのは、東京都在住の70歳女性・佐伯澄江さん(仮名)。月14万円の年金と、貯金1,300万円を老後資金として、都内の賃貸マンションで一人暮らしをしています。

 

娘夫婦と孫は郊外に暮らしており、年に数回会う程度の距離感。しかし、6年前に孫が私立高校へ進学したのをきっかけに、入学金・授業料などで100万円近い支援をしたといいます。

 

「娘に頼まれて“今回はこれだけで終わりよ”と念を押したのに、大学の時も“またお願いできない?”と。孫には何も言えませんよ。可愛いし、夢を応援したいから…」

 

しかし、今年に入ってから状況は一変しました。孫が大学4年生になり、進路について悩んでいた頃、娘からLINEが届きました。

 

《お母さん、今までありがとう。実は…来年からまたお願いしたいことがあって》

 

「てっきり“ありがとう”だけかと思っていたので、“お願い”の部分を読んで凍りつきました。今度は“孫が大学院に進学することに決めたから、入学金だけでも支援してほしい”って…」

 

佐伯さんは既に70歳。年金だけで生活するには物価高も厳しく、特に家賃の負担が重くのしかかります。これまでの援助額は合計で500万円を超えており、老後資金にも不安が出てきたといいます。

 

「もう無理よ、と伝えると“そんな言い方しなくても…”と返ってきました。援助が当たり前になっていたんでしょうね」

 

老後の生活費は、平均的な年金額だけでは十分とは言えません。金融庁の『高齢社会における資産形成・管理』報告書では、「退職後30年間で2,000万円近い資金が不足する可能性がある」とされ、“長寿リスク”への備えが必要と指摘されています。

 

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