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「民主主義国家」は“形だけ”?…ロシアと中国との奇妙な類似点
ロシアは欧米型民主主義の国で、しかも現在(2024年3月)はプーチン大統領が率いる統一ロシアが与党、ロシア連邦共産党は野党なので、人民民主独裁を憲法で定める中国とは政治思想が本来的に相容れません。
しかし、ロシアでは政敵を排除する動きが頻発し、現政権に有利な方向に世論を誘導する工作も多く見られるため、政治的自由度も民主主義度も極めて低いレベルにあります(図表2)。そして結果的に中国に極めて近い政治状況となっています。
また人権思想においても、ロシアはキリスト教の教派の一つであるロシア正教の信者が多いので、本来的には西洋諸国に近いはずです。しかし国連人権理事会などで中国の人権侵害を非難する動きに対しては、中国を擁護する立場をとっています。
ただし、統一ロシアが野党に転落したり、プーチン大統領が引退したりすれば、ロシアの政治・人権思想は一気に西洋諸国に近づく可能性もあり得ます。プーチン政権後は極めて不安定な状況となりそうです。
ロシアと中国の「対立」の歴史
他方、ロシアあるいはソ連と中国の間には歴史的に、領土争いを含め、さまざまな対立がありました。特に中ソ論争のさなかにあった1960年に、ソ連が派遣していた技術者を引き揚げたことは、中国にとっては深刻な痛手となりました。当時の中国は大躍進政策に失敗し、大きな人口減を確認できるほどの大飢饉に見舞われていた最中だったからです。
そして1969年には、ダマンスキー島(珍宝島)でソ連の国境警備隊と中国軍による武力衝突が起こったこともありました。また領土争いのあるインドやベトナムへの兵器供与もなされてきています。

