(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢夫婦のどちらかが亡くなったとき、残された配偶者が「生活のすべてがわからない」と戸惑うケースは少なくありません。中でも、家計管理や日常生活をパートナーに任せきりにしていた場合、その喪失は“実質的な生活能力の喪失”に直結します。資産があっても、年金を受け取っていても、“わからない”という不安と混乱は、誰にでも起こり得る現実です。

娘が提案した「生活支援アドバイザー」

現在、真理さんは市の高齢者支援センターを通じて、生活支援アドバイザー(訪問型の家事・制度サポート)の利用を提案。同時に、生活手続きマニュアルの作成も始めています。

 

「父にとっては、“恥ずかしい”とか“みっともない”って気持ちが強いみたい。でも私は、“わからないことをわからないと言える人”でいてほしいです」

 

宮田さんはそれを受け、毎朝10分「生活メモ」を書くことを始めました。郵便物の内容、冷蔵庫の残り物、支払日など――そのすべてを自分の言葉で残すためです。

 

「何をするにも“これで合っているのか”と不安になりますが、それでも自分でやってみるしかありません。今になって、“もう少し自分でやっておけばよかった”とつくづく思いますが……すべてを任せきりにしていた妻には、あらためて感謝の気持ちでいっぱいです」

 

老後に必要なのは「お金」だけではありません。大切な人を失ったとき、生活を回す“力”もまた、人生の資産になるのです。

 

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