「#うちの会社最高」年商6億円・過去最高売上、シャンパン片手に社員と祝杯をあげた成長企業…わずか半年後、潰れかけたワケ。原因は「54歳社長」の愚行【黒字倒産の恐怖】

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「儲かっている」はずなのに「現金がない」。 経営者にとって最も恐ろしいこの“黒字倒産”の犯人は、多くの場合、資産として計上されているはずの「自社ビル」です。本記事では、佐久間社長(仮名)の事例とともに、黒字倒産の恐怖について、資産形成・経営アドバイザーの萩原峻大氏が解説します。※本記事で紹介する事例は、実際にあった出来事を基にしていますが、個別事案が特定されないようプライバシーに配慮し、登場人物や具体的な状況に一部変更を加えて再構成したものです。

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黒字でも潰れる!? “みえない赤字”が会社を飲み込む瞬間

売上は右肩上がり。帳簿の上では順風満帆です。しかし、通帳の数字はなぜか減っていく――。これが、経営者が最も気づきにくい“みえない赤字”の始まりです。

 

ローン返済や固定資産税、光熱費、備品、そして新設備。固定費が積み重なり、オフィスの頭金によって手元の現金が枯渇。例年なら運転資金を借りられる時期に、銀行からは「自社ビル購入で借入枠が多いため、追加融資は難しい」と告げられます。

 

黒字だからこそ税金の支払いは待ってくれません。手元に現金がないのに、納税の期日だけは迫ってきます。まるで、どこかで蛇口が開きっぱなしになっているようです。

 

「まさか、儲かってるのに潰れそうになるなんて……」

 

利益は帳簿上の数字にすぎません。実際に会社を動かす「現金」の流れが止まった瞬間、どんな立派な自社ビルも、ただの重荷になるのです。

「社員のため」「安定のため」“善意”が会社を崩壊させるとき

経営者は皆、「社員を守りたい」「安定をつくりたい」と願っています。しかし、その“善意”が、いつのまにか判断を狂わせることがあります。

 

1.社員のために

頑張る姿をみていると、冷静な数字の判断が後回しになる。

 

2.所有していれば安心

ビルや車、設備を持つことで“安定している”と錯覚する。

 

3.節税になるなら得だろう

短期的な安心を選び、本質的な利益を見失う。

 

どれも間違いではありません。ですが、この3つが重なったとき、会社は“キャッシュを生まない体質”に変わっていくのです。佐久間社長は「俺が守りたかったのは“社員”じゃなく、“社員によくみられる自分”だったのかもしれない」と振り返ります。

「守る」から「動かす」へ…会社を再生させた逆転劇

資金繰りの限界がみえたとき、 佐久間社長が最初に選んだのは“撤退”ではなく“再生”でした。築浅で設備も整ったオフィスビル。市場価値は高かったものの、ローンの残債を引くと赤字。ですが、彼は「このビルにこだわっていたら、社員を守れない」と、迷わず自社ビルを売却し、オフィスを賃貸へ切り替えました。

 

それだけで、毎月の固定費が劇的に軽くなりました。浮いた資金を広告と採用に投じると、翌年の経常利益は1.3倍に。会社は、再び動き出したのです。

 

筆者が多くの経営者と向き合って感じるのは、「守る経営」ほど脆い構造はないということ。会社を強くみせようとするほど資産は動かなくなり、「社員のため」「安定のため」という善意が、いつのまにか会社の自由を奪っていきます。

 

不動産は、持つものではなく、使いこなすもの。経営者がみるべきは、資産の量ではなく、その“流れ”です。資産を動かすことは、リスクではありません。それは、会社に新しい選択肢を生み出す行為です。

 

最終的に会社を救うのは、仕組みでも資産でもありません。それを動かす意思と行動です。

 

「実行できる戦略こそが価値を持つ」

 

それは、どんな時代を生きる経営者にも共通する“答え”なのかもしれません。

 

 

萩原 峻大

東京財託グループ代表

 

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※本連載は萩原峻大氏による書き下ろしです。

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