「後悔しています」退職金3,000万円をつぎ込んだ“高級老人ホーム”で父がまさかの孤立…施設選びを急ぎすぎた娘が語る〈本当に必要だった支援〉

「後悔しています」退職金3,000万円をつぎ込んだ“高級老人ホーム”で父がまさかの孤立…施設選びを急ぎすぎた娘が語る〈本当に必要だった支援〉
(※写真はイメージです/PIXTA)

親の老後をどう支えるか――特に在宅介護が難しくなったとき、多くの家族が直面するのが「施設入所」の選択です。近年は、食事・医療・レクリエーションが充実した“高級老人ホーム”も増えていますが、「お金さえ出せば安心」という考えが必ずしも正解とは限りません。見た目や設備の充実に目を奪われ、本人の性格や生活リズムに合わない施設を選んでしまうと、結果的に孤立や心身の不調を招くこともあります。

施設入所における「本人の性格・価値観」の重要性

入居前は期待に胸をふくらませていたものの、「思ったより他人との交流が少ない」「スタッフとの距離がある」といった理由で不満を抱える人も少なくありません。「多少古くてもにぎやか」「地域の人が気軽に出入りする」といった環境の方が、結果的に生きがいを感じやすくなる高齢者もいます。

 

施設選びの際は、パンフレットに記載された設備や料金だけでなく、「本人の性格」「過ごし方の好み」「人との距離感」などを丁寧に見極めることが重要です。

 

麻衣さんはその後、ケアマネジャーに相談し、父の通所リハビリや地域の見守りボランティア制度などを組み合わせて、施設の外とのつながりを取り戻す工夫を始めました。

 

「施設に“預けて終わり”じゃなかったんです。退職金を使って豪華な環境を用意することが、父にとっての幸せとは限らなかった」

 

施設選びに悩んだら、地域包括支援センターや自治体の福祉課、高齢者支援のNPO団体など、第三者の専門的な視点を借りることも有効です。本人のニーズに即した施設選びをサポートしてくれる「入居アドバイザー」や「老後の住まい相談員」も全国的に増えつつあります。

 

「退院が迫っていて、焦っていました。でも今思えば、もう少しだけでも立ち止まって、父と話をしていればよかった」

 

麻衣さんは、父が入居から半年後にようやく口にした言葉が忘れられないといいます。

 

「ここは、静かすぎるな。声をかけてくれる人がいたら、違ったかもしれないな」

 

施設の外に出るのは体力的に難しくなっていましたが、地域の移動販売車や民生委員との交流が週に数回あるようになり、父の表情には少しずつ変化が出てきたそうです。

 

「施設に入れて終わりじゃなかった。これからも、父の“暮らし”を見守っていきたいと思います」

 

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