“老後不安”の中で生きていた母の本音
「母が黙っていたのは、たぶん“迷惑をかけたくない”という気持ちだったんでしょうね。家族としては悲しい気持ちもあるけれど、ありがたいと思うしかありません」
旧札は念のため銀行に持ち込み、記念に数枚だけ手元に残すことにしたといいます。キャッシュカードの残高は、母の遺志を尊重して、葬儀代と施設利用料の清算に充てました。
「最後まで人に頼らず、ちゃんと自分で備えていた母の姿勢には、本当に頭が下がります」
近年、家族に資産情報を共有せずに亡くなる高齢者が増えています。通帳・キャッシュカード・保険証券などを見つけられず、「相続放棄」や「払い戻し漏れ」が発生するケースも。
2024年からは相続登記の義務化や、預貯金の照会制度の拡充など、手続きの明確化が進んでいますが、それでも本人しか知らない「現金の隠し場所」は存在します。
「“床下収納を開けてください”ってメモでもあれば、全然違ったのにな」と苦笑いする勝田さん。
老後資金を“見える形”で遺すことも、次の世代へのやさしさかもしれません。
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