「豊かさ」とは面積ではなく、動ける距離にある
「ねえ、また娘たちが来てくれるって。今度は駅に近い物件もみにいこうかしら」
夏の夕暮れ、智恵子さんは庭のラベンダーを摘みながら笑いました。聡さんも少し照れくさそうに頷きます。
「庭付きの家も悪くないけど、次は“庭をみに行ける家”でいいかもしれないな」
老後の理想は、静かな暮らしでも、孤独な暮らしではありません。豊かさとは、家の広さや風呂の材質ではなく、「自分が動ける範囲の中に、安心と人とのつながりがあること」だと、村上夫妻は気づいたようです。
地方移住は、成功すれば穏やかな時間をもたらします。しかし、そこに必要なのは夢ではなく、数字に裏づけられた現実的な計画。
「第二の人生をどこで、どんなふうに生きるか」
その答えは、老後の家計と心のバランスをみつめなおすことから始まります。
波多 勇気
波多FP事務所 代表
ファイナンシャルプランナー
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