(※写真はイメージです/PIXTA)

地方移住で暮らしを変える高齢者が増えています。「静かな自然に囲まれて」「費用も抑えてゆったりと」…。しかし、年金だけで暮らす「移住×高齢単身世帯」には、思わぬコストや寂しさが待っていることがあります。光熱費、交通費、地域とのつながり…。暮らしの“理想”と“現実”のギャップを見つめ直す必要がありそうです。

制度面から見た“見落とし”と選択肢

公的には、高齢者単身世帯の生活支援策が存在します。ただし自治体により実施状況はまちまちで、参加条件を満たしていても申請を知らない人や手続きをしない人も多くいます。

 

また、移住先である地方自治体では“都会→地方”という移住者向けの支援制度が充実する例もありますが、いずれも「住民税・固定資産税の軽減」「空き家改修補助」などが中心で、日常的な費用や孤立に対する直接的な支援が十分にあるわけではありません。

 

さらに、年金が13万円程度という収入状況では、医療費・介護保険料・住居メンテナンス・暖房・通信などを賄うにはギリギリのライン。加えて、移動費や交通手段が限られる地方では、想定外の出費や負担が増えやすいのです。

 

「田舎暮らし」「自然に囲まれて」「費用が抑えられる」――そんな魅力は確かにあります。一方で、一人暮らしの高齢者が移住後に直面するのは、光熱費や移動コスト、そして何より“つながり”の希薄さです。

 

年金収入で暮らすならば、移住を選ぶ前に「毎月の支出の実態」「地域の暮らしの体力」「誰かが見てくれる安心感」を家族とともに整理しておくことが大切です。通帳を見て泣く日が来ないように、見えないもう一つのコストも考えておきたいものです。

 

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