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トランプ大統領が「3期目」を務める可能性は?
2期目のトランプ大統領が誕生して、約1カ月後にワシントンに行った時のことです。大きな話題になっていたのは、「トランプ大統領の第3期目」でした。
本来であれば、トランプ大統領に「3期目」はあり得ません。アメリカ合衆国憲法(修正第22条)で「大統領の3選禁止」が定められているからです。しかし、何をするかわからないトランプ大統領のことです。「3期目」を可能にする抜け穴を見つけ出すかもしれません。それが可能なのかどうか、そして可能であるとすれば、それをどう成立させるのかということが話題になっていたのです。
仮に、トランプ大統領がそれを本気で望んでいるとすれば、それはアメリカの政治システムを根底から突き崩すことを意味します。しかも、憲法を改正するためには極めて高いハードルがあります。改正案は、連邦議会の両院の3分の2の賛成で発議されるか、または3分の2の州議会が請求して連邦議会が招集する「憲法会議」で発議されなければなりません。その後、4分の3の州議会、または各州で開かれる憲法会議の承認を経て、初めて憲法修正が成立します。
したがって、トランプ大統領3選はほぼ不可能に近いと考えるのが妥当な見解です。また、仮にトランプ大統領がそれを望んでも、賛成する人は皆無かもしれません。
ところが、一時期、トランプ大統領は3選を明確には否定しませんでした。「自分は次の大統領選挙に出ないとは言っていない」と、可能性があるような発言を繰り返していたのです。おそらくこれは、次の選挙がない大統領は2年でレイムダック化するのが通常であるため、それを避けることを目的とした発言だったという可能性が高そうです。
3選を恐ろしいことだと思っている人が多かったことも事実です。筆者の知り合いの強固なトランプ支持者も、3選すべきではないと断言しています。トランプ氏の汚名になり、アメリカへの冒涜になる、憲法の抜け道や裏道などの解釈論議はやめるべきだというのです。
「大統領3選」はアメリカ社会にとっては極めて危険だといえます。限られた期間とはいえ独裁者を生み出しかねないからです。しかしワシントンには、その大きなスリルを味わいながら、アメリカの政治システムや民主主義を考え直すという知的チャレンジを楽しんでいる人たちがいるという事実もあるでしょう。
その後トランプ大統領は、メディアに対し口頭で3期目を否定しましたが、筆者の知る限り、これまでワシントンで「大統領3選」についての議論がなされたことなどありませんでした。しかも、憲法解釈についてのチャレンジングな議論が沸き起こったことは極めて異例です。
今のアメリカが激烈な混迷の最中にあることを、マニアックな政治の街であるワシントンが、典型的に表していたともいえます。そして、大統領をレイムダック化しないことを目的に、3期目の話題は、まだ継続しそうです。
中林 美恵子
政治学者
早稲田大学教授
公益財団法人東京財団理事長
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