税金と保険料の負担増・年金制度や行政サービスの改悪…何もしなければ「あなたの手取りは減り続ける」という厳しい現実

税金と保険料の負担増・年金制度や行政サービスの改悪…何もしなければ「あなたの手取りは減り続ける」という厳しい現実
(※写真はイメージです/PIXTA)

静かに増え続ける税金などの負担に辟易としている人も少なくないでしょう。いまや「国が何とかしてくれる」という考えは幻想。自分自身で準備しなければ、私たちのお金は減り続けてしまうといいます。そのシビアな現実を、永江将典氏による著者『最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方』(ワン・パブリッシング)より一部抜粋してご紹介します。

いったいいつから年金を受け取れる?

次は、年金についても見てみましょう。日本の公的年金は、皆で暮らしを支え合うしくみです。若いときから一定の額を支払い続ければ、定年退職後などにお金を受け取ることができます。そうなるといつまでお金を払うのか、そしていつから受け取れるのかが大切になってきますが、ここでも改悪が続いています。

 

年金を受け取れる時期がどんどん遅くなっているのです。支給開始年齢は、1944年には55歳でしたが、1954年には60歳(女性は55歳)に。現在は原則65歳と徐々に引き上げられています。

 

こうした傾向を見ると、今後も引き上げられる可能性も十分あり得ます。受け取るのが遅くなるということは、それまでの間の収入を確保しなければいけません。そこで「いつまで今の会社で働けるのか」、いわゆる定年退職の年齢が気になってくることでしょう。

 

2025年4月1日から、企業には65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)を導入することが義務づけられました。企業は65歳まで定年を引き上げるか、定年制を廃止するかを選ぶことになります。

 

一見、私たちにとっては長く働けるということで、いい話です。年金を受け取るのが遅くなる分、長く働きたいのですから当然ですね。

定年延長の落とし穴とは

しかし、これも手放しでは喜べません。というのも、この制度は65歳の定年を義務化するものではなく、65歳までの雇用機会提供を義務づけるものに過ぎないためです。

 

なんとも紛らわしいのですが、平たく言えば企業は60歳を過ぎても雇ってさえいればよくて、給与は下げてもいいよ、ということです。これでは私たちが継続して働けるとはいえ、収入が減ってしまう可能性が高く、安心するにはほど遠いでしょう。

 

なお、こうした収入減のリスクを軽くするために、雇用保険法に基づく「高年齢雇用継続給付」という制度がありました。これは定年後も労働を続ける65歳未満の人を対象にしたもので、賃金が60歳のときと比べて75%未満に下がったとき、支給される給付金です。

 

しかし困ったことに、2025年4月からこの高年齢雇用継続給付が縮小されています。60歳時点よりも給与を下げられた場合の補填条件が悪化し、最大給付率が15%から10%に減少。さらに残念なことに、この制度自体が、将来廃止されることがすでに決まっているのです。

 

ここまで、私たちを取り巻く状況について見てきましたが、いかがでしょうか。トータルで考えると、私たちはより厳しい状況に置かれることこそあれ、改善する見込みはほとんどないことが、お分かりいただけたのではないでしょうか。

 

「国がなんとかしてくれる」といった考えは幻想に過ぎず、そうした他力本願は問題を先送りするだけで、貴重なあなたの時間をどんどん浪費してしまいます。自分と家族を守るお金は、自分自身の力で維持し、増やしていくしかない。それが、私たちが置かれた現在地点なのです。
 

 

 

永江将典
公認会計士・税理士

※本連載は、永江将典氏の著書『最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方』(ワン・パブリッシング)より一部を抜粋・再編集したものです。

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永江 将典

ワン・パブリッシング

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