税金と保険料の負担増・年金制度や行政サービスの改悪…何もしなければ「あなたの手取りは減り続ける」という厳しい現実

税金と保険料の負担増・年金制度や行政サービスの改悪…何もしなければ「あなたの手取りは減り続ける」という厳しい現実
(※写真はイメージです/PIXTA)

静かに増え続ける税金などの負担に辟易としている人も少なくないでしょう。いまや「国が何とかしてくれる」という考えは幻想。自分自身で準備しなければ、私たちのお金は減り続けてしまうといいます。そのシビアな現実を、永江将典氏による著者『最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方』(ワン・パブリッシング)より一部抜粋してご紹介します。

ようやく「103万円の壁」を引き上げる話が出てきたが……

暗い話が続きましたが、明るい話題がないわけではありません。

 

年収「103万円の壁」を引き上げるという話です。この年収の壁とは、分かりやすくいえば「これ以上稼いだら、国に所得税を払ってもらいますよ」というラインです。これが低いと、ちょっと稼いだだけですぐ税金が引かれてしまいます。それを嫌ってそれ以上働かない人も多いことから、俗に「壁」と言われています。

 

逆にいえば、このラインが上がればけっこう稼ぐまで税金を取られずに済む、ということです。多くの人がより稼げるようになり、多くの人がより働くようになりますから、人手不足も解消に向かうので、「壁」の引き上げが望まれていたのです。

 

これまでは給与収入として103万円を超えて稼いだら、所得税を支払う必要がありましたが、2025年からそのラインが引き上げられました。

 

たとえば、これまでは158万円を稼いだとき、103万円を超えた55万円分に税金がかかっていました。この壁が引き上げられたことで、所得税はゼロという人が増えることになります。

 

私も税理士として長年多くの情報に接していますが、減税のニュースを聞いたのは本当に久しぶりです。

明るい話に隠れた、行政サービスの改悪

ただ残念ながら、この明るい話題も、絵に描いた餅に終わる可能性もあります。というのは、国民の負担を増やす施策もセットとなっているからです。

 

たとえば自営業者などが加入する国民健康保険の保険料。この保険料にはこれまでは年89万円という上限があったのですが、それを92万円に上げることが、2024年10月に決まりました。

 

これまでは月200万円や300万円、400万円を稼いでも、年間の保険料の上限が89万円でしたが、これが92万円となります。つまり私たちの手取りが減るのです。

 

このように、何かを減らす一方で、別の細かいところで税金の金額を上げていくのが、現在の国のやり方とも言えるでしょう。

 

残念なことに、こうした暗い話題には事欠きません。

 

2022年10月からは一部の75歳以上の高齢者の医療費自己負担割合が、従来の1割から2割に上がりました。自己負担額が2倍になったということです。これも私たちの負担を重くする、行政サービスの改悪と言っていいでしょう。

 

もっとも、日本は高齢者が多い分、このようにしなければ医療費がますます増えてしまうという事情もあります。

 

必要な取り組みではあるのですが、国民の生活が厳しい中、いつのまにか負担が増え続けていく現状は考えものです。

次ページ高齢化が進む日本。私たちはどう生きるべきか

※本連載は、永江将典氏の著書『最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方』(ワン・パブリッシング)より一部を抜粋・再編集したものです。

最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方

最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方

永江 将典

ワン・パブリッシング

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