「LINEグループでは喜んでくれていたじゃない」思わず飛び出した反論
それでも納得がいかず、明美さんは反論しました。「だって、LINEグループで写真を送った時は何も言わなかったじゃない」と。
するとお嫁さんは、少し声を荒げて言いました。
「それは家族内だけで共有するものですよね? まさか、お義母さん、美優の写真を他の人に送ってないですよね?」
明美さんは正直に答えました。
「送ったわよ。お友達もみんな『かわいいお孫さんで羨ましいわ』って言ってくれるの」
その言葉に、お嫁さんの怒りはさらにヒートアップ。
「信じられない。個人が特定されて美優だけではなく、ほかのおうちのお子さんが犯罪に巻き込まれる可能性だってあるんですよ! この幼稚園に通っていることを知られたくないお子さんだっているかもしれない。金輪際、美優の写真は撮らないでください。アルバムも削除します」
その後、すぐに家族写真のアルバムは削除されました。
電話を切った直後は何が問題だったのかピンときていなかった明美さんですが、数日経ってなんとなく自分がしでかしたことの重大さに気づきました。
「悪気なんてなかったんです。ただ、嬉しかっただけで……。でも、今は軽率だったと反省しています」
60代は9割がSNSを利用
2025年1月にNTTドコモ モバイル社会研究所が全国の60~84歳を対象に行った調査によると、60代の9割、70代は7割、80代前半は約半数がSNSを利用していることがわかっています。特に女性はInstagram、男性はLINEの利用が増加しており、関東・近畿では全国平均を上回る傾向があります。
SNS投稿によるリスク
その後、楽しかったシニアライフも暗転。友人に愚痴を聞いてもらう日々が続きました。
「しばらくは長男一家との行き来もなくなり、毎日のように送りあっていたLINEグループもまったく動かなくなりました」
そんななか、明美さんの愚痴をひと通り聞いた友人は、改めて明美さんにSNS投稿のリスクを説明しました。彼女は、最初に明美さんが孫の写真をSNSにアップした際に、忠告してくれた友人です。
友人は「SNSに写真を投稿することで、個人情報が漏洩するリスクがあること。詐欺や悪徳商法に利用される可能性があること。肖像権侵害やプライバシー侵害の可能性があること」を丁寧に説明してくれました。
その話を聞いて、改めて自分がやってしまったことの重大さに気づいた明美さん。たまたま、そばで話を聞いていた明美さんの夫も「美優やまわりの人たちを危険にさらすところだった」と反省したといいます。
そのまた数日後、明美さん夫婦は長男一家に誠意を込めて謝罪。今後のスマホやSNS利用のルールについて話し合いました。長男の嫁も「私たちも説明が足りなかったです」と言ってくれ、途絶えていた交流も徐々に復活しつつあります。
[参考資料]
NTTドコモ モバイル社会研究所「シニアのSNS利用拡大 60代の9割、70代は7割、80代前半は約半数が利用」
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