悠々自適の友人に思わぬ展開…「人生ってわからない」
藍子さんからの電話、その内容はこうでした。
「息子の会社が倒産して大きな負債を抱えてしまったの。夫も息子にお金を貸していて、共倒れになってしまって……。私も働けって夫にいわれたけど、仕事なんてほとんど経験ないし、どうしたらいいのか。幸子ちゃんの働いているところ、紹介してくれない? どうか助けてほしいの」
あれだけ息子自慢をしていた友人が、人生のどん底に立たされていたのです。悲劇のヒロインのような涙声。薄っすら透けて見えていた「格下の友人」である自分に仕事を紹介してもらおうという電話……。幸子さんは少々面食らったといいます。
そこで、幸子さんは現実的なアドバイスをしました。
「ファストフードやコンビニの仕事は、ほとんど仕事の経験がない人には、ちょっと難しめかも。主婦の経験を生かせる仕事がいいんじゃない? 家事代行や施設の簡単なお手伝い、清掃なら、採用される可能性があるんじゃないかな」
藍子さんは、それならできそう! と声を弾ませます。しかし、幸子さんはこう続けました。
「でも、時給は大体1,000円前後だし、フルタイムでも手取りは15万円前後くらいかな。稼ぐって体力もいるし大変よ。まずは慣れることが大事よね」
電話口の藍子さんはしばらく絶句。「え……たったそれだけ?」
夢見ていた“主婦でも簡単に稼げる仕事”という幻想が、一気に崩れた様子でした。幸子さんは内心で苦笑しつつ、電話を切ったといいます。
「人生はどう転ぶかわかりませんね。自分の足で生きられるようにしておくことの大切さをしみじみ感じました。1回のお茶代で使い切ってしまうお金を、1時間かけて稼ぐ。働くってそういうことですけど、彼女にできるのかな。正直そんな風にも思いました。でも、本当に追い詰められたら、やるしかありませんからね。あとは彼女次第でしょう」
その後、藍子さんからの連絡はなく、状況は分からないのだといいます。
万事順調だと思っていても、人生には何が起きるか分かりません。シニアになってからも、収入、家庭環境、そして友情――すべては、予期せぬ形で変化することがあります。専業主婦の場合、金銭的に頼っていた家族に何かが起きた時、どう乗り越えていくのか。念のため、そんなことも考えておく必要があるでしょう。
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