減収を補填する給付金も「足りるわけない」
「いまさら転職もできないし、今の条件で65歳まで働くしか選択肢はない。次女の大学費用もあと2年支払う予定で、卒業するまでは貯金を切り崩して生活することになりそうです」
現役時代は、収入が多くなるにつれて生活のレベルも上げており、老後資金は退職金でなんとかなると高をくくっていたという村井さん。しかし、55歳以降の減収以降は思うようにお金が貯まらず、貯蓄は60歳時点で1,200万円ほど。退職金は住宅ローン残債を支払った残りが100万円ほどあり、計1,300万円の資産だといいます。
「65歳からの年金見込みは妻と合わせて月24万円。果たして長い老後をやっていけるのか……」
これだけの収入減を想定できていなかったと、村井さんは項垂れます。定年前後で減収幅が大きかったため「高年齢雇用継続基本給付金」の対象にはなりましたが、月2万円ほどの補填だといいます。
【高年齢雇用継続基本給付金】
再雇用されたものの、給与が60歳時点の賃金に比べて75%未満に下がったという場合に、月額賃金の最大10%相当が支給される給付金(2025年度)。
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60歳時点に比べて給与が
・64%以下に低下した場合⇒60歳以降の月額給与の10%相当額
・64%超75%未満に低下した場合⇒給与の低下率に応じて0~10%相当額
村井さんのケースでは、減収割合は67%で要件を満たしており、支給率は6.95%
「ないよりはありがたいですが、根本的な解決にはなりません。この先、私にもしものことがあった時のために、妻にはお金を残してあげたいですからね。65歳どころか70歳まで働くしかなさそうです」
老後の暮らしは「未解決のまま」
村井さんは、長く働く覚悟を決めたといいます。ただ「働き続けられる体力が持つか」「その後の生活費は足りるのか」という問いに明確な答えはありません。
役職定年で給与が減ることは、多くの会社員にとって避けられない現実です。また、業績悪化など想定外の事態も、人生にはつきもの。さらに、給付金などの制度はあっても、基本的にそれだけで不安が解消されるわけではありません。
「ピーク時の生活を思えば、今の暮らしは本当に厳しい。稼いでいるときにもっと貯めておくべきだったと痛感しています。自分の人生だけはうまくいく、なんて甘く考えていたのが間違いでした」と村井さんは苦笑いします。
人生の後半での収入減は現実の問題です。「年収1,000万円あるから安心」とは言い切れません。早めに資金計画や家計管理を考えることの重要性を、村井さんの事例は教えてくれます。
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