ここ数年、エグゼクティブ層の短期離職が増加傾向にあります。勤続年数が短いと採用担当者にネガティブな印象を与え、再就職のハードルが高くなりがちです。そのため、転職活動の準備段階から離職理由としっかり向き合うことが重要になります。本記事では、職務経歴書や面接での離職理由の扱い方について、エグゼクティブ転職の専門家・井上和幸氏が具体的に解説します。
短期離職の理由を隠してはいけない
また、実績だけ華やかに記載されていて、短期離職の理由が書かれていないと、相手には不審感しか残りません。当然、選考は進みませんし、時折それをかいくぐって入社したとしても、「前職でこれをやったと言っていたじゃないか」「前職ではこれくらいの業績を上げていたはずなのに、なぜ当社では全く成果が出ないの?」といった入社後のトラブルになりかねません。
実際、数度の短期離職を繰り返している方のなかには、このパターンに陥っているケースも少なからず見受けられます。
まず、こうなってしまったことは仕方ありません。第一にやるべきことは、自分から短期離職の理由を具体的かつ客観的に述べることです。開示されていないグレーゾーン(この場合、なぜ短期間で退職する・したのか)について、基本的に相手がよい方に解釈してくれるということはありません。不明な部分はネガティブに受け止められ、勝手に不利な解釈をされてしまいます。
そうならないよう、自ら「なにが起きて」「自分なりにどのような対処をして」、「それでもなお、なにが解決されないために今回、短期で退職する・したのか?」を職務経歴書に端的に記載しましょう。
応募先企業も自分自身も納得できる離職理由か?
さて、その棚卸しした短期離職の理由は、応募先の企業・経営者からみて妥当と思えるものでしょうか?
「なるほど、それは大変だったね。残念だったね」と理解してもらえるものでしょうか? もしかすると、「それで直ぐに辞めてしまうなんて、ちょっと問題では」と思われてしまうようなものだったりはしないでしょうか?
私はよく「一事が万事」ということをお話しします。問題が起きた際に、解決しようと努力せずに、そこから逃げてしまった場合、同じことが必ずまた次の会社でも起きます。ステージクリアしないままに次に進むと、いつまでも同じゲームを解けるまでリプレイすることになるのが「キャリア」なのです。
敵前逃亡型の転職になっていないか? 現社で問題があるとしても、それに十分向き合い切ったうえでの今回の転職活動となっているか?
この段階ではまだ一人での個人ワークですから、ぜひ自分に嘘をつかずにしっかりと振り返り、文章や言葉にしてください。自分自身でもきちんと納得できるならば、仕切り直しでの今回の転職活動に自信を持って臨めることでしょう。それは、必ずよい結果をもたらします。
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株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人材開発部、広報室、学び事業部企画室・インターネット推進室を経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。
2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供している。人材コンサルタントとして「経営者力」「リーダーシップ力」「キャリア力」「転職力」を劇的に高める【成功方程式】の追究と伝道をライフワークとする。 実例・実践例から導き出された公式を、論理的に分かりやすく伝えながら、クライアントである企業・個人の個々の状況を的確に捉えた、スピーディなコンサルティング提供力に定評がある。自ら2万名超の経営者・経営幹部と対面してきた実績・実体験を持つ。
著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(共著、東洋経済新報社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)、『プロフェッショナルリーダーの教科書』(共著、東洋経済新報社)、『人物鑑定法 あの人も、丸見えになる』(経済界)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。取材・コメント・出演実績として、「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日刊工業新聞」「週刊東洋経済」「日経ビジネス」「GQ JAPAN」「週刊現代」「プレジデント」「AERA」「月刊BOSS」「CIRCUS」「日経ビジネスオンライン」「ITmediaエグゼクティブ」「BOSS online」、フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「キカナイトF」、その他業界誌等多数。
株式会社 経営者JP
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連載相談実績2万名超の経営人材コンサルタント直伝!“エグゼクティブ転職”成功マニュアル