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資産家のひとり娘、相続発生がもたらした「人生の転機」
「あっ、もう離婚するしかないなって、スーッと気持ちが冷えて固まったんです」
鈴木陽子さん(仮名・33歳)は、夫から持ちかけられた「グッドアイデア」の内容を振り返りながら、唇を噛みしめました。
仲睦まじかった陽子さんと、夫の孝弘さん(仮名・35歳)の関係があっさり壊れたのは、陽子さんの父親の相続が原因でした。
陽子さんの父親は中小企業の会社経営者で、陽子さんはひとり娘です。父親は、妻である陽子さんの母親が5年前に亡くなったのを機に、渋谷区へ1LDKのマンションを購入。そして陽子さん夫婦に「いずれ家族が増えたら、広い家がいいだろう?」といって、世田谷区の広い戸建ての実家へ移るよう勧めました。
おしゃれな父のマンションを、夫は「いいなあ、いいなあ」と…
「父はおしゃれで多趣味な人。マンションはちょっと贅沢な感じの広めの1LDKで、キッチンには特注の棚をしつらえて、いろいろな国のウイスキーのコレクションが飾ってありました」
陽子さん夫婦も何度か新しい住まいに遊びに行きましたが、そのたびに孝弘さんは「いいなあ、いいなあ」とうらやましがり、気をよくした陽子さんの父親から珍しいウイスキーを飲ませてもらっていました。
「実は父は、母が亡くなる前からがんを患っていて、ずっと療養していたんです。2度目の手術のあと、急に状態が悪くなってしまって。あっという間でした…」
父親の遺産は、かなりの金額の預貯金と投資信託、生命保険、陽子さん夫婦が暮らす世田谷の家、そして孝弘さんお気に入りの渋谷区のマンションでした。
「父は経営者ですし、自分が病気を患っていたこともあって、抜かりなく相続の準備をしてくれていました。もちろん相続税は発生しましたが、困るようなこともなく…」
陽子さんは生前の父親からアドバイスを受けたとおり、渋谷の1LDKのマンションを賃貸に出すつもりで、父親が懇意にしていた不動産会社の担当者と打ち合わせをする予定を入れました。
