片づけで知る親の人生
今回の件で、信也さんが強く感じたのは「実家の片づけは、親の“最終章”を読み解くようなものだ」ということ。
「父の苦労や思いが、あの金庫に詰まっていた。自分が子どもだったころの記憶とつながって、涙が出ました」
老親の死後、こうした“意外な発見”は珍しくありません。財産や権利関係に関する重要書類が放置されていたり、家屋が老朽化していたりしてすぐに売却できない場合もあります。
相続が「争族」になる前に、家族でできる準備はたくさんあります。信也さんは、「今度は自分の子どもに、ちゃんと話しておこうと思った」と笑います。
今回のように、自筆の書き置きや覚書は、法的効力が弱いケースもあります。しかし、そこに込められた“想い”をどう受け取るかは、遺された家族次第です。
「“言葉”としては遺してくれなかったけど、あれはきっと父の“精一杯の準備”だったんだと思います。金庫ごと、宝物みたいに思えています」
親の死は突然やってきます。そして、実家の片づけが終わるころには、“ただの家”だった場所が、かけがえのない“物語”に変わっているのかもしれません。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
