(※写真はイメージです/PIXTA)

「年金だけで生活を成り立たせるのが難しい」という声は珍しくありません。総務省の調査によると、高齢単身世帯の月平均支出はおよそ15万円。一方で、年金受給額が月10万円未満の高齢者は全体の3割超とされており、「足りない分」をどう補うかが、親本人だけでなく子世代にも重くのしかかっています。今回は、80歳の父を支える50代娘の声をもとに、“親を助けたいけれど、自分も余裕がない”という世代共通の葛藤に迫ります。

「父の年金だけでは、明らかに足りませんでした」

斉藤美奈さん(仮名・52歳)は、都内でパート勤務をしながら、高齢の父の生活を支えています。母を早くに亡くし、実家には現在、80歳の父が一人暮らし。

 

10年前までは父も元気で、自立した生活をしていましたが、75歳を過ぎたあたりから体調を崩し、生活が一変しました。

 

「父は月10万円ほどの年金で暮らしていましたが、通院が増えて薬代もかかるようになり、とても足りなくなりました」

 

父の年金の内訳は、老齢基礎年金+わずかな厚生年金の合算。退職後の再就職先が非正規雇用だったため、厚生年金の上乗せ額がごく少ないという状況でした。

 

美奈さん自身も、決して経済的に余裕があるわけではありません。

 

夫とは数年前に離婚。今は大学生の娘と2人で暮らしており、生活費や学費に加えて、自身の老後の備えにも不安を抱えている状態です。

 

「父に5,000円、1万円と渡しても、私の家計がすぐ赤字になってしまう。でも、“食費が足りない”とか“灯油代がかさんだ”とか言われると、見て見ぬふりはできなくて…」

 

「親を見捨てるようで罪悪感がある」と語る一方で、自分の生活が不安定になることで、さらに深刻な連鎖が生まれることもわかっており、葛藤は続いています。

 

美奈さんは、福祉制度についても調べました。

 

特に、親の収入が低く、家族からの仕送りも難しい場合には「生活保護」も選択肢の一つとなり得ます。

 

しかし――。

 

「“生活保護を申請してみたら?”と提案したら、“恥をさらす気か”と怒鳴られました。プライドがあるのはわかるけど、もう限界なんです」

 

実際には、生活保護制度は「資産や扶養能力を総合的に判断」して適用されます。子どもがいても、扶養義務者に“援助能力がない”と認定されれば、申請は可能です。また、親が高齢・無職であれば、仕送り義務は免除されることも多く、市区町村の福祉事務所が状況に応じて判断します。

 

「説明すれば理解してくれるかと思ったけど、“世間体”とか、本人の気持ちのハードルが高くて…」

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
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