「母さんの味だね」に義母が放った一言
そんなある週末、美咲さん一家は東京の下町にある義実家を訪れました。大好きな「ばあば」と「じいじ」に囲まれ、娘も満面の笑みです。夕食を囲んでいたとき、夫が「やっぱり母さんの料理はおいしいな。なんていうか、手作りの味がするんだよな。この餃子も味噌汁も、母さんの味だよ」と言ったのです。
すると義母が一言。
「え? この餃子は冷凍食品だし、味噌汁も粉末だしよ。知らなかったの?」
夫は真っ青に。「え、それはたまたまだよね。子供の頃、麻婆豆腐やコロッケは母さんが作ってくれてたじゃないか」
義母は笑ってこう返しました。
「麻婆豆腐は豆腐を加えるだけの合わせ調味料だし、コロッケも時間があるときは手作りしたけど、忙しいときは商店街のお肉屋さんで買ってきたものをよく出していたわよ。あんたの塾のお弁当だって、冷凍食品やお惣菜が中心だったでしょ? 気づかなかったの?」
思わぬ事実に、美咲さんは内心ガッツポーズ。夫は「あう、あう……」と呟きながら、肩を落とすしかありませんでした。
さらに義母はとどめを刺すように言いました。
「私だって働いていたんだから、毎日すべて手作りなんて無理よ。あんたもお父さんも台所に入らなかったから、知らなかったのね」
7割超が「食事準備」に負担
株式会社くふうカンパニーが行った「毎日の食事作りと惣菜購入」に関する調査によると、7割超が「食事準備に負担を感じる」と回答。その理由は「物価高」(69.2%)が最多で、次いで「猛暑による調理環境の厳しさ」(48.7%)、「メニューが決まらない」(43.4%)、「疲れや体調不良」(38.2%)、「仕事や育児・家事との両立」(37.1%)と続き、生活者が抱える現実的な課題が浮かび上がっています。
また、物価高に対抗して食費を抑える工夫としては、「特売品・値引き品を購入する」(61.8%)、「安く買える店を選ぶ」(53.4%)、「外食を減らす・しない」(52.4%)が上位に。一方で「惣菜購入を減らす・しない」は25.1%に留まり、多くの人が節約と手間のバランスを取りつつ、惣菜を上手に活用していることがわかります。
「母親は楽してナンボ」義母からの言葉
義実家からの帰り際、義母は美咲さんにこう声をかけました。
「美咲さん、うちのバカ息子がごめんなさいね。どうせ普段から『お袋の味がどうこう』って言ってるんでしょ? 母親はね、楽してナンボなの。今は便利なものがたくさんあるんだから、どんどん活用しないと家庭なんて回らないわよね!」
義母のあたたかい言葉に、美咲さんは思わず涙が出そうになりました。「あうあう」言ってた夫も「今まで言いすぎたかもしれない。ごめん」とやっと反省の色を見せました。美咲さんは、これまでの家事が少し報われたような気持ちで家路についたのでした。
[参考資料]
くふうカンパニー「食事の準備と惣菜の購入」について
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