「この会社で20年後も働けるのか」…希望が見えない未来
さらに見沢さんにはもう一つ、大きな不安があります。
「自分の会社がこの先20年、持つ保証はないんですよ。業績は良くないし、自分のポジションが残るとも限らない。退職金があるうちに早期退職を選ぶという選択肢もないわけじゃないけど、転職先の当てはまったくないです」
かつては「家があればなんとかなる」「正社員なら安心」と考えていた価値観が、もはや通用しなくなっている実感があります。
「普通に働いて、節約して、贅沢もしない。それでも報われない。これって、どこで間違えたんでしょうね?」
国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査』によると、住宅ローンの年間返済額は全国平均で約155万円、三大都市圏では約180万円に上ります。これは月平均にして13~15万円という計算で、見沢さんのように10万円台の返済であっても、家計に占める比重は決して小さくありません。
加えて、教育費の負担も年々増加しています。公立中高でも塾代が年間数十万円に上るケースは珍しくなく、子どもが2人以上いる家庭ではなおさらです。
「ウチって別に贅沢してないんです。旅行も年に1回行けるかどうか。外食だって月に2回くらい。それでも、家計は回りません。もう、どこまで落ちたらいいんですかね……」
そう語る見沢さんの言葉には、怒りというよりも深い疲弊と諦めがにじんでいました。豊かではなくても“人並み”の暮らしが送れる——そう信じてきた人々にとって、今の社会は、あまりに冷たく感じられるのかもしれません。
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